サラ・ウォーターズ『黄昏の彼女たち 上下』(2)

上巻はじわじわと胸にしみこむ女性どうしの愛の物語だった。好意とか善意とか友情とかでなく、ひたむきな肉体の行為を伴った愛に目覚めてふたりはリリアンの夫レナードの留守に結ばれる。
下巻は一転して殺人事件の物語になる。殺されたのはレナードで、殴られ殺された死体が屋敷の庭の外に横たわっていた。
リリアンはチャンピオンヒル殺人事件の悲劇の妻として注目され新聞種になる。
レナードは以前にも会社帰りに殴られて血まみれになったことがあった。浮気相手の若い女性ビリーの婚約者スペンサーが怒りの一撃をくらわせたのだ。そのことを調べたケイプ警部補とヒース部長刑事によってスペンサーが逮捕された。読者はスペンサーが犯人でないのを知っているから、この逮捕劇の行方がどうなるか気になる。スペンサーはずっと留置されている。

ついに裁判が始まって、リリアンは家族とよりもフランシスと裁判を傍聴すると主張して二人は裁判所の傍聴席に座る。スペンサーは冤罪から逃れることができるのか。フランシスの心の動きが繊細に描かれていて苦しくなる。

他の用事もしつつ長い物語を熱中して読んだものだから、目は充血するし座りすぎで腰はだるいしで、これはあかんとストレッチに励み長風呂して整体院にも行ってようやく回復した。

『荊の城』が良かったのを思い出してアマゾンの中古本を注文した。『エアーズ家の没落』は友だちが貸してくれる。

桜島大根がうまい

本町の八百屋「森の小屋」へ野菜を買いに行った相方がどっこいしょと持って帰ってきたのはでっかい桜島大根。切り口からいくと一個でなくて1/6のようだがそれでもでかい。葉っぱも太い束になっている。ちゃんと生産者の名前が入っている。
晩ご飯には小さい三角形に切って塩もみしたのが小皿で出た。次に厚揚げと炊いたんが深皿で出た。葉っぱはチリメンジャコと炒めた。どれもうまいと言ったらまだまだ残っているとのことで、明日の楽しみ。

今日の献立:菜っぱのサラダ、焼酎湯割り、桜島大根の塩もみ、桜島大根の葉っぱとチリメンジャコ炒め、厚揚げと桜島大根の炊いたん、豚肉の煮込みとピクルス盛り合わせ、ご飯を茶碗に1/3、豆腐とワカメの味噌汁、梅干し、煎茶。

トッド・ヘインズ監督『キャロル』

とっても素晴らしかった小説『キャロル』の映画化。2015年11月米英公開だからすごく新しい映画だ。トッド・ヘインズ監督は先日『ベルベット・ゴールドマイン』を見たところだったので期待した。

わたしはこの10年くらい映画館に足を運んでいない。いま調べたら去年九条のシネヌーヴォへ60年代のチェコの映画『ひなぎく』を見に行っただけ。その前は普通の映画館に行っていてシネコンははじめてという時代遅れ(笑)。しっかりDVD派である。

見逃したらいかんと映画館の場所と時間を検索して早めに出発。TOHOシネマズなんば別館にたどり着いてみれば、ここは昔敷島シネマという映画館があったところだ。カトリーヌ・ドヌーブの素敵な映画を見た思い出がよみがえった。
入場券を買うのを係員に尋ねたりしてようやく着席。

時代は1950年代。ニューヨークのアパートで一人でつつましく暮らし、写真家を目指しているテレーズ(ルーニー・マーラ)はクリスマスシーズンのデパートのおもちゃ売り場で働いている。忙しい店内に美しい人妻キャロル(ケイト・ブランシェット)が娘へのプレゼントを買うために訪れた。キャロルが置き忘れた手袋を配達伝票の住所宛に送ると、キャロルはテレーズを翌日のランチに誘う。
そして、二人は自動車で旅に出る。ホテルでのラブシーンが美しい。
旅から戻ったキャロルはテレーズの電話に出ず、失意のテレーズは友人の紹介で新聞社に就職して働きだした。
キャロルは夫との離婚問題と子どもの養育権問題を経て仕事を考え始めた。最後はテレーズがキャロルが居る場所を訪ねていって向き合って終わる。

という物語のことは小説『キャロル』の感想でも書いているが、映画ではファッションや車や街の風景が目でも味わえるからいい。
それでも映画は見なくてもすんだと思うが、小説は読まなくてはすまなかったというのがわたしの感想だ。
キャロルは決まり過ぎていてちょっとなあという感じ。テレーズの一途なところがよかった。

サラ・ウォーターズ『黄昏の彼女たち 上下』(1)

サラ・ウォーターズの作品は『荊の城』と『夜愁』の2作を図書館で借りて読んだだけだ。今回はどういう心境の変化か出ると聞いたときから買うつもりになっていた。パトリシア・ハイスミスの『キャロル』で百合心が刺激されたせいかな。タイトルがいいしね。
読み終わったらすっごくよかったので、こうなったら訳されている『半身』『エアーズ家の没落』も読まねば。もちろん一度読んだ本も買って再読せねば。

ロンドンから南へ5-6キロ離れたカンバーウェルといううらぶれた村のチャンピオンヒルという丘に建つ屋敷にフランシスは母親と住んでいる。並んで建つそれぞれの屋敷の前には広い庭が横たわり、その庭を木々がとりまいている。
第一次大戦で兄と弟が戦死し、その後父親が亡くなったのだが、母と娘が思っていたような財産は残っていなかった。広い屋敷で使用人も雇えずに家事雑用は全部フランシスの肩にかかっている。
フランシスは以前にクリスティーナという女性の恋人と付き合っていたが家に戻った。クリスティーナは別の女性とロンドンで自活して暮していて、フランシスはときどき母に内緒で彼女らの部屋を訪ねる。

今回どうしようもなく現金が足りなくなり2階を貸して家賃を得ることにした。新しい住人はレナードとリリアンのバーバー夫妻で、労働者階級出身らしいが言葉の訛りはない。レナードはホワイトカラーでリリアンは専業主婦である。
フランシスとリリアンはだんだん仲良くなっていく。リリアンが『アンナ・カレーニナ』を読んでいるところから会話がはずむ。一緒に公園を散歩してランチを食べる。
フランシスが過去のクリスティーナとの話をしたあと、リリアンは腕を突き出してフランシスの乳房の間から突き出しているなにかを握るように指をまるめゆっくりと手を引いた。その場所は心臓の真上で、そこから突き出した見えない杭をリリアンは引き抜いたのだ。

長い長い作品で上巻はフランシスとリリアンが惹かれあっていくところが素敵な愛の物語である。
(中村有希訳 創元推理文庫 上下とも1240円+税)

安くてうまいハタハタの鍋

昨日の疲れが抜けない感じで足腰がだるくて目も疲れてかなわんかったが、予約してある美容室へ行った。名犬シェル君を抱いて鏡の前に座ってしゃべっているうちに気分が上がってきて、帰るときには上機嫌になっていた。出来上がりの写真を見せてもらったらご機嫌さんに笑っている。よかった、よかった。

染め時間待ちに『婦人画報』を読んでいたら花の特集で日本中の見事な花が勢ぞろいしていて綺麗だ。こんなに美しく花が咲いているところがこの国にあるんやなと眺めていた。重いので長く見ていられなかったけど。
コーヒーを淹れてもらって会話は続く。歯医者さん情報、病院情報、パン屋さん情報、野菜市情報も人の寄る場所ならでは。

帰ってから洗濯して片付けしてあとはネットで遊んだ。体の疲れはまだ残っている。
相方が買い物に行ってハタハタが安かったと喜んでいる。8匹パックが100円だったから2パック買ったって。晩ご飯はハタハタ鍋。キノコとネギと豆腐を入れて、最後はうどんで汁も残さず食べた。気を使った出汁のせいか格段にうまかった〜

Mac OS YosemiteをEl Capitanにアップグレード

わたしが1日の大半を過ごすパソコンの前、Mac OS X El Capitanの山々の風景に画面が変わったら気分も変わって楽しい。もちろんわたしにそんなことができるはずはなく、やったのは背後の人です(笑)。どういうふうに違うのかもわたしにはまだわからん。いつものように使いながら身につける。
時間がかかって一時はどうなるかしらと思ったが、最終的に起きている間にカタがついてやれやれだった。始めるのが遅いから終わるのも遅い(笑)。
さっそくこのブログを書いて、SNSをちょっとのぞいて今日は終了としよう。

相方にMacをやってもらっている間にわたしはヴィク・ファン・クラブの会報を仕上げて封筒入れまで片付けた。明日ポストに入れにいける。今月もいろいろとあってなかなか出来上がらなかった。ようやくできてほっとした。

電話機が新しくなったし、Macもアップグレートしたし、明日からやるぞー(爆)

春のあしおと

普段は家の近所ばかり出歩いているから気がつかないけど、ちょっと地下鉄で出かけると「春だなあ」という感じがしてうれしくなる。女性のコートの色がブルーとかきれいなグレーとかを見かけたとき。バッグの色が明るい茶系だったり。お化粧なんかも明るくしているんだろうな。わたしにはわからんけど。

最近、女性誌を意識的に読んでいる。いまも『FRaU』3月号を広げているのだが、ファッションはもちろんのこと、料理も春の食材で明るい彩りだ。うちの料理係が参考になると喜んでいる。最近のファッション誌の料理ページは簡単にできておしゃれなのが多い。

今日は姉の家に行ったんだけど、近所に小さな木だけど梅が花を咲かせている家が2軒もあってうれしかった。帰りの地下鉄で鮮やかなブルーのコートを袖を通さずに肩にかけている女性を見た。グレーのスカートと黒のハイヒールがよく似合っていた。
わたしはまだまだ寒いからダウンのコート。マフラーくらい春色にしよう。

固定電話機交換、シンプルでカワイイ

ちょっと前から固定電話で話し中に雑音がはいったり聞こえにくくなることがあった。それでもまあまあ使えてるのでそのまま使ってた。うちの電話はほとんど毎夜の姉との定期便である。昨夜は姉と話し中にザーザーいう上に話が途切れて会話にならない。話はiPhoneに切り替えてすんだが、基本的に固定電話がないと困る。
そこで相方登場。コードを調べて、ひかり電話対応の機具一式も調べて、ついでに我が家の電話状況も書類やネットで調べ始めたら夜中を過ぎた。だからいやなんだよなと言われてへこんだ(笑)。
今日はNTTに電話して器具の状況をチェックし、そのあとで出張点検してもらった。結局は電話機のコードの差し込むところがおかしくなっているので新しく買ったほうがよいとのこと。
それからネットで調べて機能が少ない子機のないシンプルなのを見つけたのですぐに相方が難波のビックカメラに走った。薄いグレーで四角いシンプルなカワイイ電話機。長いこと使っていた電話コードも新しくしたのでこれで一安心。

今夜の晩ご飯はフォー

フォーを屋台で食べてからベトナム料理を食べてみたくなったが、まだベトナム料理店にはいったことがない。野菜の市とか祭りのテントでフォーを何度か食べただけである。好きな味なのでフォーの麺の代わりに春雨を使ったりして個食のときにけっこう食べている。そのとき手元にある野菜を入れてニンニクを効かせてお餅も入れたスープはけっこう好き。

先日輸入食料品店で袋入りのフォーを相方が買ってきて本の教えにそって作った。フォーの原料はお米の粉である。白くて平べったくてきしめんに似てる。
今夜の晩ご飯は先にビールと野菜と肉のおかずを食べてから大きな丼に盛られたフォーが出た。さっぱりとしていていい感じ。たっぷりのいろんなハーブの葉っぱが異国情緒を誘う。もやしは必須。その時々に上にのせる野菜や肉で濃厚になったりさっぱりしたりするはず。
スープだけでなく具沢山の焼きそばしてもうまそう。

古い日記のページには

ペンで書く日記は続いたことがないけれど、パソコンで書く日記はよく続いている。ブログを始める前にはヴィク・ファン・クラブサイト掲示板(数年で廃止)の書き込み、mixiの日記やコミュニティ書き込みとせっせと書いていた。それらの前には阪神大震災『週末ボランティア掲示板』の世話人のようなこともしていた。人と関わるといえばかっこいいが要するにお節介である。

当ブログ前身の『kumiko日記』は2006年4月から2015年12月まで書いたが消去したので、このブログに移転途中。その前に書いていた『kumikoのほとんど毎日ページ』は1998年9月から2006年3月までで、これは『ヴィク・ファン・クラブ サイト』で読める。ということは17年続いている。びっくりしたなあ、もう。
1998年のところをいま開いているが、昔もいまも同じようなことを書いていて成長がないというか、変わらない人というか(笑)。