バーバラ・ヴァイン(ルース・レンデル)『階段の家』

長いことかかってようやく読み終えた。終わったときはどんな出だしだか忘れていて読み返したくらい。ルース・レンデルが別の名前で本を書いていることは知っていたが、本書を読んでその理由がわかった。ルース・レンデルのしつこいところ、いやらしいところをますます強くした作品を別名で書いているんだ。そのしつこくていやらしいところが気持ちいいんだからすごい筆力だ。

ある日、タクシーからベルの姿を見たエリザベスは追いかけるが見失う。ベルは刑務所にいるはずだった。それから連絡がついて二人は再会する。
エリザベスの家族にはハンチントン病という遺伝的な病気があることを14歳のときに知った。それを話したのはベルだけである。

エリザベスは母の従兄の妻であるコゼットの世話になっている。コゼットは夫を亡くした後に、陽気な未亡人生活に入って〈階段の家〉を買い、たくさんの居候を置いて陽気に暮らしている。コゼットは気前がよく親切で〈階段の家〉の一室をエリザベスが小説を書くための書斎にしつらえてくれた。エリザベスはそこで売れる作品を書き不自由のない生活を送っている。
再会したベルを同じ家の別の階で暮らすように世話をするが、エリザベスの部屋で二人が抱き合うシーンは読む者の心を不安にする。カメオのブローチの肖像のような横顔を持つ美しいベル。

働くことをいっさいしないベルは本も読まないでテレビを見ているだけだが、エリザベスが読んでいるヘンリー・ジェイムズの「鳩の翼」に異常に興味をもち話をさせる。そして「鳩の翼」にならって遺産を狙う計画を立てる。

コゼットの恋が細かく描かれ、相手の謎っぽいマークとなかなか結ばれないのが、ついに結婚までいったとき、悲劇が起こる。
(山本俊子訳 角川文庫 680円)

我が社の忘年会(笑)

昨日の夜ツイッターでふと書いた〈忘年会とかボーナスとか、なにもカンケイないけど、ちょっとギネスでも飲みに行くか。誘ってみようかな夫婦忘年会(爆)〉に相方からRTがついた。〈そやな、とネットで応えてみる (^^; 〉
ということで、我が社(社員は相方とわたし)のささやかな忘年会が梅田のシャーロック・ホームズで開催された。今日はシャーロック・ホームズでは大阪府ダーツ協会の総会が催される日で、たくさんのダーツ仲間が集まっていた。遅めに行ったら迷惑をかけるところだった。早めに行ってよかった。ゆっくりとギネスを飲んで料理を食べた。今年の最後になるだろうし、ヴィク・ファン・クラブの例会を来年もよろしくの気持ちをこめてたくさん食べて飲んだ。
それからぶらぶらと大阪駅を通りイカリスーパーへ寄ってから、ヨドバシのマックの売り場へ行ってiPad(まだ買わない)と今度買おうと思っているMac miniを眺めた。

二次会は心斎橋のバー ベース。わたしは温かい飲み物が欲しくてカルーアミルクとホットワインを飲んだ。それに中近東風の味がする料理をもらっていい気分。女主人のKさんともうひとりの女性客と話がはずんだ。バックにジャズを流してくれたのが、クリフォード・ブラウンとマックス・ローチの曲で、しばしジャズ談義も。

ルース・レンデル『わが目の悪魔』

さきにウェクスフォード警部のシリーズを読んでよかった。本書を最初に読んだら「もうええわ」だったかもしれない。レンデルの短編をひとつ「ミステリマガジン」で読んで「もうええわ」と言ったわたしである。うまいという点では最高なのだが、どこかイケズな感じがするところがどうもいけない。2冊読んだウェクスフォード警部ものは警部の人柄が良くて、犯罪はえげつなくてもすっきりと読めた。

主人公アーサー・ジョンソンの孤独な生活と性癖が、同じアパートに引っ越してきたもうひとりのジョンソン(アントニー・ジョンソン)の存在で狂っていく過程が描かれる。アーサーは厳しい伯母に育てられた。きちんとした服装でいること、室内を清潔にしておくことなどを躾けられた独身の中年男で、他の入居者とは一線を画している。アパートの地下室は荒れたままでだれも入って行かない。そこに置いてあるマネキン人形への行為がアーサーの隠し事である。上の窓から地下室への出入りを見られたらたいへんなことになる。

もうひとりのジョンソン、アントニーは大学の研究者だが人妻ヘレンと愛し合っている。アントニーへのヘレンからの手紙を間違って開封したアーサーは、それ以来ヘレンの手紙を開封して自分で書き直したのと入れ替えしたりする。アーサーの妄想がふくらんでいく。
アントニーはヘレン恋しさでいたたまれない。どうなるかと読み継いでいくと、最後はうまくまとまってほっとした。

今夜のSUBは久しぶりの西山さんと竹田さんのデュオ

西山さんと竹田さんの演奏を月に一度は聴きたいと思っているのだが今回は間があいた。今日は行かなくちゃとは思っていたのだが、“ジャズやねん”こと藤岡さんがツイッターで、「今日はSUB」とつぶやいてはるのを読んで「わたしもSUBいこう」とそのあとにつぶやいていた。

西山満さんのベースと竹田一彦さんのギターで毎週金曜日に行われるライブは15年続いている。今夜はそれにまた1ページの歴史が加わる。いつもすごいと思うのは、今回は前回よりもいいなという気持ちにさせてくれること。今夜は男性客が圧倒的に多くて、女性はふたりだったが、長い期間のファンが時間がとれればこうして聴きにくるのが素晴らしい。
「バードランドの子守唄」だったか、ここで演奏するのははじめてだと言われたが、すごくしっくりしてた。あとなんだっけ、好きな曲なんだけどすぐに曲名を忘れてしまう。ふぇーっと戦慄しながら聴いておった(喜)。

藤岡さん(フリーペーパー「関西ジャズガイド WAY OUT WEST」を編集発行されている)とうちは目と鼻の先に住んでいるのだが滅多に街で会ったことがない。共通の知人のこととかネットのこととか久しぶりでいろいろとお話しできてよかった。
SUBは演奏が終わってからの雑談もまた楽しい。

早くも今シーズン二度目の風邪ひき

先週の末からどうも体が冷える感じがしていたのだが、火曜日に姉の家に行って帰ったら風邪っぽい声になっていた。エアコンとコタツでは空気が乾燥しているので、タオルをしぼって吊るしたらどうかと提案はしたのだが気に入られなかった。うちの加湿はタオルで充分役に立っているんだけど。
水曜日は目が覚めたら声ががらがら。あーあ、本格的な風邪になってしもたと仮眠2時間。夜はカリフラワーへmaikoさんのDJを聴きに行くつもりだったが相方一人で出かけた。昨日も夕食後に仮眠2時間した上に早寝。そして今日ももひとつすっきりしない。午後2時間の仮眠。鼻が詰まっているのでイビキをかいて、寝言もいってるみたい。せっかく長時間眠ってもこれではあかんわ。

ほんまに全身が乾燥しているみたいで、水分を肌からとるつもりでお風呂に入る。頂き物の柚子があるので毎日柚子風呂にしている。気持ち良い。今夜もそうしよう。ふとん乾燥機でふとんを温めて。明日はお昼前に出かけるので、今日よりはマシな気分で目覚めたい。

スーザン・カンデル『少女探偵の肖像』

ずっと作者名を知らないままだった少女探偵ナンシー・ドルーの物語をなんで読んだのだろう。きっと家に子ども用の名作集みたいのがあったのだと思う。実はわたしはナンシーは好きでなかった。少女小説はたくさん読んだが、ミステリは早くから大人向けを読んでいたから。ドロシー・L・セイヤーズ!

ヴィク・ファン・クラブが発足したころ、フェミニストで有名な小倉千加子さんの友人だという女性が会員にいたのだが、彼女から電話があった。小倉さんが「朝日ジャーナル」に書く原稿のことで女性探偵について聞きたいとのことだった。いろいろ名前をあげたあとで、古いところではナンシー・ドルーがいましたよと教えたのを覚えている。パソコンがあれば一発でわかるまでに、あと10年もなかった時代、こうして人に電話で聞いたりしてたのね。雑誌が出てからみたら教えたとおりに書いていた。嘘教えてたらどうなんだろうといまも思う。お礼はもらってない。その彼女も最初の1年間だけの会員だった。もう19年も前の話。

さて、なぜか女性探偵の名前を聞かれたらその一人としてすぐにナンシー・ドルーが出てきたのだが、作者名も知らないなりにミステリ界に位置を占めてると思ったわけだ。いま創元推理文庫で新しく訳された本が5冊あり続けて出るような話なのでいつか読んでみよう。

さて、本書では、伝記作家シシー・カルーソーはナンシー・ドルーの伝記を書くべく下調べをしている。この分野にも強力なコレクターがいる。わたしには未知の世界だが、イギリスのA・S・バイアット「抱擁」を読んだときにコレクターの執念を知ってすごくおどろいた。ビクトリア時代の詩人の恋の話だった。

雑談ばかりで話が全然進まないが、本書ではナンシー・ドルーの初版本コレクターが殺され、彼の家に泊まるように鍵を受け取っていたシシーと友人のラエルとブリジットは大慌て。
しっかりしたファン・クラブ会長さんや会員が出てくるし、会合の様子を見ているとほんまにえらいもんである。うちのファン・クラブと大違いだ。また寄り道になるが、ヴィクのファン・クラブだからこうして哲学するファン・クラブなのさ。
前作ともにカバーイラストが森英二郎さんである。昔大阪にいた人だと思うが懐かしい名前に出合っておどろいた。
(青木純子訳 創元推理文庫 1000円+税)

タムタムカフェからパノラマへ 夜遊び復活

今夜は久しぶりの外食をしに日本橋のタムタムカフェへ行った。以前Sさんにもらったバウムクーヘンを持っていったのがえらく気に入られたので、またSさんにねだって送ってもらった。いつ風邪が去るか気になっていたが賞味期限に間に合ってよかった。東京の下町のお菓子屋さんのだけど、すごく気に入ったんだって。

お酒と肴(厚切りベーコン炒め、鳥の唐揚げ、肉じゃが)。ホットワインがメニューにあったので頼むと、ただ赤ワインを温めたものでなく、シナモンなどハーブと果物(柿、オレンジ、梨)が入って香り高い。これから冬はこれで決まりやね。
カウンターに座った若者たちとのおしゃべりも楽しく、わたし完全復活だわ〜 パノラマ手芸部長はなさん手製のハンドクリームをプレゼント用に買った。

それから四ツ橋へ出てパノラマへ。今日は手芸部のある日で女性たちで賑わっていた。kaoruさんのDJが鳴り響く中でおしゃべりとマッサージと紅茶。手芸部の「モケモケ展」の展示販売でフエルトの小物を買った。

よく若い人と話していると、他の人から「娘さんですか」と言われる。相方に言わせると「お孫さんですか」と言われないだけ喜ばなあかんそうな(笑)。わたしの接する若い人たちはみんな真面目で優しくてよく話を聴いてくれる。

義兄が亡くなって1年

昨日おとといは自分の風邪ひきの話ばかり書いていて肝心の一周忌の話を書いてなかった。と言っても穏やかな集まりで書くほどのことはなし。
一年という日々は故人を忘れさせるもののようだ。義兄の場合は7年半という闘病期間の長さのせいかもしれない。姉は頑張っていたぶんまだ疲れが残っているみたいで、姉を労る集まりだったような。一周忌ってこれでいいのね。

義兄の妹夫妻は定年になった元公務員で郊外に住み、毎日貸農場で野菜を作る日々だという。毎朝6時に起きるんですわと言うので笑ってしまった。横に座ったこの日記を読んでいる甥が笑った。甥「生活時間が正反対ですやん」わたし「6時になったらベッドにいないとお日ぃさんが当ったら融けてしまうわ」。他の人にはわからん会話。元公務員夫妻はわけわからん顔だったが、説明するのもしんどくてパス。
建物を出ると午後の日射しが燦々と輝いていた。「うわっ、まぶしぃ、融けそう」やけくそのわたし(笑)。
ほんまに体をまっすぐにして座っているだけでも疲れた、と話は一昨日の日記につながる。

スーザン・カンデル『E・S・ガードナーへの手紙』続き

娘のアニーは21歳でヴィンセントとの間に小さい子どもがいるが別れたいという。アニーの家に行っての会話はこれが親子かって思うあけすけさ。「ママは何人の男と寝た?」「九人」なんて。
翌朝は有罪判決を受けた殺人者との面会に出かける。いつもなにを着るかが大問題である。この日は白の縁取りのある茶のシャネルスーツ。シシーはこれを着ると白い砂糖で縁取りされたチョコレート・カップケーキと自分で思うところがなんともかわゆい(笑)。
軽く読んでいるとチョコレート菓子のような甘い物語なのに、突然、深刻な内容になるのでおどろく。

1957年ジョゼフ・アルバッコは妻のジーンを殺害したとして逮捕された。第一級殺人罪で終身刑を受け現在も服役中。ジョゼフは椅子にかけると笑顔を向けてきた。シシーはその瞬間、今日は生涯でもっとも奇妙な面会になると気づく。
ジョゼフは警察がまるで捜査をしなかったので、教誨師と話したあとにアール・スタンリー・ガードナーに手紙を書いた。ミステリが好きだったから勝手にあの人なら無罪を証明してくれると思ったからだ。シシーはここにきたらガードナーについて知ることができると思ったのだが、目を合わせると、ひょっとするとお力になれるかもしれませんと言ってしまう。
教誨師に会いにいくとジョゼフは無実の罪で苦しんできた、あと3週間で流れを変えねばならぬという。
そこで奮闘するシシーだがいつもおしゃれを忘れない。おっちょこちょいで美味いもの好きで、男好き。今回は(これからもずっと出てくるのかな)ピーター・ガンビーノ刑事が元恋人として出てきていい感じだ。
(青木純子訳 創元推理文庫 900円+税)

スーザン・カンデル『E・S・ガードナーへの手紙』

横浜在住の妹とは去年の義兄の入院と死去があってから電話し合うようになった。それ以来、果物や海苔を歳暮と中元その他のときに送ってくれる。こちらから読み終わった軽いミステリ本を入れた荷物をたまに送る。
今回は反対に向こうからミステリがとどいた。スーザン・カンデル「E・S・ガードナーへの手紙」と「少女探偵の肖像」の2冊。全然知らない作家なので、タイトルと表紙のイラストからなんやコージーかなんて思ったが、1冊読んでみたらおもしろかった。これから2册目を読み始めるところ。

主人公のシシーはライターでミステリ作家の伝記を専門にしている。元ミスコンで優勝したことがあるおしゃれな女性。離婚してウエストハリウッドのバンガローに住んでおり、若くして生んだ娘アニーは結婚しているので、目下は一人暮らし。
仲の良い女友だちラエルは焼き菓子作りの名人で奇抜な菓子を焼く。いま焼いているのはストライキ決行中の港湾労働者とかをかたどったジンジャーブレッドを焼いているはずなんだって。
もうひとりのブリジットはヴィンテージファッション・ショップのオーナーで、往年のハリウッド女優風のドレスとかを扱っている。シシーは40年代の衣装をここで調達してパーティに出かける。

いまの仕事はE・S・ガードナーの伝記で、編集者にせっつかれながら資料を調べているところだ。わたしの最初のガードナー体験は家にあった「義眼殺人事件」の背表紙だった。ミステリが並んだ本棚の中でも目立っていた。それからだいぶ経ってペリー・メイスンものを読み始めた。思い込みで自分なりのペリー・メイスンとデラ・ストリートの姿があったので、テレビドラマを見たときはおどろいた。二人とも全然イメージがあわんやん。それでもけっこう見ていたけど。
風邪引いちゃって頭がまわらん。今日はここまで。
(青木純子訳 創元推理文庫 900円+税)