ナンシー・アサートン『ディミティおばさまと村の探偵』

優しい幽霊シリーズの6冊目。このシリーズの約束事はすでに亡くなっているディミティおばさまとの会話。ロリの周辺になにごとかあって相談したいときや行き詰まったときにノートに書くと、旧書体の文字で返信が書かれる。ロリのこども時代の孤独の友であるぬいぐるみ、うさぎのレジナルドは古ぼけもせず。

ロリはディミティおばさまがコッツウォルズのフィンチ村に遺してくれた家に夫のビルと男の子の双子と住んでいる。年明けにビルの実家のボストンで3カ月間過ごして帰ってきたところだ。ビルはロンドンで仕事中。
帰って早々に牧師夫人がやってきて甥のニコラスの面倒を見てほしいと頼む。先日この村に住んで3カ月のフーバーさんが殺されたという。この村の住人たちの間にはウワサがどんどん広がるのだが、誰も殺された人を気の毒に思っていない。それほど人に好かれない女だった。
そのあと隣家の厩舎長キットが馬を飛ばしてやってきた。キットは村人から殺人事件の犯人と指差されていると語り、疲れ果てている。キットがくつろいでいるとニコラスが来る。ニコラスのことをこどもだと思っていたら立派な大人だったのロリはびっくり。
なんやかんやでロリとニコラスは一緒に犯人探しすることになるが、村人は不倫のウワサをするし、ロリ自身もまんざらではないところもあり、読むほうはまたかと(笑)。
(朝月千晶訳 RHブックス+プラス 800円+税)

日記を書きはじめて13年、毎日書いて11年半

日記のネタがないので去年の11月のを読む。毎日のテーマを決めるまでの苦労が思い出される。本の感想をていねいに書いているのを読んで最近は荒っぽくなっているのを反省。最近は手抜きな日が多いような気がする。
いま振り返ったら1998年9月から書いているから13年書いていて、毎日書くようになってからは11年半だ。自分でおどろく。ヴィク・ファン・クラブの会報は20年つくってるが、ものすごい持続力だな。この調子だともう少しいけそうだけど、ある日突然「やんぴー」となってもおかしくない。

今日は整骨院へ行って背中と首筋を診てもらってたんだけど、左手が異常に凝る感じなので左腕から手首まで触ってもらった。マウスを左手に持っているのが原因だって。こんなことからほころびていくかも。今日はなんか悲観的やな。だれかどかーんとおごって!(笑)。

11月20日(日)大阪サウンドデモに参加

デモの正式名称は「ええかげんにせい!!!!原発、放射能ガレキの拡散、もうたくさん!!!!!デモデモデモ!!!!!!!!!」と長い。詳細は【2011.11.20(日) 13:00頃〜みんなでプラカードづくり!!!! 13:30頃〜リレートーク!! 14:30頃〜サウンドデモ!!!! 場所:大阪市西区 靭(うつぼ)公園】。
前々日くらいまでは1時頃に着こうといっていて、前日には1時は無理やけどそこそこ早く行こう(笑)。結局当日は2時過ぎ到着。うつぼ公園は近いのに。

今回でデモ参加は7回目。
4/16 大阪 原発いらん! 関西行動 集まろう!中之島 歩こう!御堂筋
5/7 脱原発!! サウンドデモ 楽器を持ってデモに行こう
6/5 原発卒業式+サウンドデモ
6/11 脱原発デモ全国展開 大阪
7/31 ANTI NUKES サウンドデモ!!
9/11 原発ハヨトメロ!!デモin大阪

2時過ぎに着いたらリレートークの終わりの人が語っていた。それから出発までチラシをもらったりしながら数人の知り合いとおしゃべり。
出発!サウンドカーをトップになにわ筋に出て本町通を東へ向かい御堂筋へ。最初はちょっと荘重な曲がかかり、ていねいな言葉遣いのMCで原発いらないの意思表示。瓦礫受け入れ反対を言うのに「われわれ大阪市民は」から「われわれ大阪第二市民は」と言い直したのには笑った。
その後はDJとライブ演奏で盛り上げた。道行く人たちにチラシを配りながら進んで行く。青空に白い雲がぽっかり、暖かい日射しで気持ちよい。
本町の角にスターバックスがあるところから御堂筋に入り、南へ進んで心斎橋を通り難波へ出て高島屋前から浪速公園で解散というコースなのだが、わたしは心斎橋で離脱。毎度、途中離脱しているけど膝が悪いのでごめんなさい。

カフェで座ってコーヒーを飲みながら足休めして、大丸の地下売り場へちょっと立ち寄ったら、裕福そうな熟年の夫婦の会話が聞こえた。妻「あの人らはなにを言うてたん?」夫「原発いらんと言うてたな、なにか主義を持った人らやろ」これだけでその後はお買い物してはった。

なんでデモに行くのかと聞かれたことはないが、聞かれたとして(笑)、デモの効用は別にして、わたしの場合は「気分があがる」からですね。「わたしひとりではない」という気持ちにもなって明日も来年も生きていてデモに行こうと思う(笑)。

レジナルド・ヒル「闇の淵」(2)

ヨークシャーの炭坑町の人たちの生活ぶりを興味深く読んだ。なにからなにまで近所に筒抜けの炭坑町の生活の様子が描かれている。男たちは酒と暴力で日々を過ごす。イギリスの労働者階級の暮らしを描いた映画は最近では「リトル・ダンサー」くらいしか思い出せない。だいたい映画を見てないからなぁ。コリンを「リトル・ダンサー」の町において考えたら、あてはまった。

炭坑って、わたしが知っているのは三池炭坑の社宅(炭住)に3日泊めてもらったことがあるだけだ。三井三池の組合員の娘さんたちが大阪で就職していたのを支援(?)していたので、連絡やら闘争後の主婦の会の人たちと会いたいとか、まあ若くてヒマだったのでできたこと。炭住の生活ぶりは都市下層労働者の我が家よりはずっとよく見えた。

炭坑での事件の解明に追われるダルジール警視、パスコー警部、ウィールド部長刑事だが、事件の捜査をする中で、パスコーとウィールドが理解しあうところがあってシリーズの醍醐味を味わった。
(嵯峨静江訳 ハヤカワポケットミステリ 1600円+税)

レジナルド・ヒル「闇の淵」(1)

ダルジール警視シリーズはほとんど読んだと思っていたのに、先日ジュンク堂でポケミスを見ていたら未読本が見つかった。1991年初版発行で2005年に3判発行。「子供の悪戯」の次の作品である。そのあたりの本はほとんど図書館で借りて読んだ。とにかく読み出したのが遅くて10年くらい前に集中的に借りて読んだ。最近の新刊と図書館で読み残しているのは買っているが、まだあったとは。

パスコー警部の妻エリーは炭坑労働者のコリンと大学の社会人講座で知り合う。コリンは魅力のある若者でちょっとしたしぐさもカッコいい。エリーとコリンは講座が終わった後に講師と生徒という立場でちょっと話し合ったりするうちに微妙に惹かれ合う。
コリンの父親ビリーは3年前に炭坑町で少女が誘拐され行方不明になる事件の容疑をかけられるが、連続少女誘拐事件犯人の犯行とされ無罪となった。彼は3カ月後に愛犬とともに廃坑で転落死するが、町の人たちは自殺だとうわさする。コリンは父親の潔白を信じていて、疑惑を晴らしたいと思っている。

パスコーはウィールド部長刑事を食事に誘う。ウィールドはワインと薔薇の花束を持ってくるが、エリーにワインをパスコーに花を手渡す。「わたしが性差別をしていると思うなら、花とワインを交換してもいいですよ」と言ったウィールドはゲイなのだ。楽しい会話を続けるが、バイクに乗っているウィールドは「パトカーの連中たちは、バイクに乗っているやつはみんな暴走族で・・・」そこでパスコーとやりとりがあったあと、「一度バイクに乗ってごらんなさい。警官であることをやめてごらんなさい」それから声を落として「ゲイになってごらんなさい」という。パスコーは反射的に「せっかくだけどやめておくよ」と言ってしまう。
そこへコリンからエリーに電話がかかり、エリーはあわてて飛び出して行く。酔ったコリンを車に乗せたエリーは・・・
(嵯峨静江訳 ハヤカワポケットミステリ 1600円+税)

EXPEさんの公開リハーサル

COMPUFUNKで8時からYUSHITAKE EXPEさんの公開リハーサルがあった。わたしが行くのは3回目。サイトのスケジュールに[nutronのドラム&南米アルゼンチンドラマーのツインドラムに、タブラ、パンデイロ&シェケレのツインパーカッション、+ギター&シンセサイザーによる変拍子/複合拍子/ポリリズムAMAZON FUNK!]とある。読んだだけでそそられる。
メンバーは、EXPE : Space Guitar Takahashi (Dr) from nutron Marcelo (Dr) from Argentina Yuji (Tabla) from Amadoo Taro (Per) from Soft Ieguti (key) from Terras,Para

8時に行ったらもう打ち合わせがはじまっていたので、慌てて椅子を引き寄せた。打ち合わせから見られるんだからいい。公開リハーサルでなければ味わえないオマケ。
いつも真ん前に座るのだが、今日はちょっとうしろになった。でもすぐに前の人が立ったので、よい案配に一番前をゲット。椅子に座る人は少なくて(椅子も少ない)ほとんど立ってはるんやけど。高齢者特権で(笑)。

左の斜め前と右の斜め前に2メートルほど離れて向き合ってドラムセットがあり、正面にパーカッションとシンセサイザー、左横にパーカッション、全体の真ん中にギターが機材とコードに包囲され。
ドラムが2台って想像もつかなかったが、同時に叩くのだからものすごい音量だ。同じように強く長く叩くときもあり、片方が強く片方が穏やかというところもあった。そしてパーカッションも2人が休みなくいろんな楽器を叩き続ける。シンセサイザーが加わる。その間を縫ってYUSHITAKEさんが駆使するギターの音がうねる。
それが休みなく2時間近く続いたのだから聴くのにも体力と精神力がいった。最終的にすごい快感がやってきた。ポリリズムAMAZON FUNK! オーケー!!

終わってからバースペースでレミちゃんの話し上手に誘われてなんだかだといっぱいしゃべって楽しかった。帰ってから会報作りとツイッター読み、そしてお風呂。

SUB、みんなよく聴きよく見ている

久しぶりでSUBへ行った。竹田一彦さん(ギター)と財盛紘さん(ベース)のデュオ。西山さんが亡くなったあと、竹田さんが西山さんの愛弟子の財さんとやることになった最初の9月16日。後半がジャムセッションでベースが宮上啓仁さんに替わったら、同じベースを弾いてこんなに違うものかって正直思った。いまやから言うけど(笑)。

あれから2カ月、今日の財さんはよかった。前半はうまくなったなって感じだったけど後半にがんばった。最後にやったブルーモンクでソロになったとき、すごくブルーな音にこちらのからだが揺れた。それを受けて竹田さんが機嫌良く弾き終わって、いまのよかったなと握手された。
よく来られている年配のお客さんが「今日はよかった。竹田さんが財くんに手を差し出したのははじめてやな」と言った。みんなよく聴きよく見ている。
今日はよそでジャムセッションがあったそうで、メンバーの方々はそちらに行かれていたそうな。みなさんのも聴きたかったが、後半に財さんの成長を聴けたからこれでよかった。

ウォルター・アイザックソン「スティーブ・ジョブズ」( II )

読み終わってから一週間経った。( I )を読み終わったとき〈マックとわたし〉のことを興奮して一息で書いた。それから( II )を読み出してずっとジョブズ漬けの日々を送っていた。すごい影響を受けてたのをいまさらながら感じている。
内容については書評が山ほどあるはずだ。わたしは一つも読んでないけど新聞などにもう出ていることでしょう。だからわたしの感想は〈マックとわたし〉でよかった。

さて、( II )なんだけど、同時代を生きてきた人の伝記ってはじめて読んだのだが、なんかこういろんなことを考えさせられるものだ。そしてその人がもういないのはいたましいが、本書を読むとジョブズはやりたかったことを全部やり終えて亡くなったと思うので、お疲れさまでしたと見送る心境になっている。

わたしはイヤホンで音楽を聴くのが苦手でiPodに触ったことがなかった。でも若者でいっぱいのアップルストアの賑わいがうれしかった。若いカップルが買ったばかりのiPodを手にしながらMacBookを見て、今度はこれやなと言っているのを見てうれしかった。
iTunesで買い物をしようとまずアップルストアでカードを一枚買って、一曲買いしたのはU2だった。
iPhone3Gを買ってからはイヤホンつけて台所仕事したりしてたが、どうも合わずにやめてしまった。音楽に関してはライブが好き。
あっ、また自分のことを書いている。

さっきも読み返していたのだが、ウォルター・アイザックソンってすごい書き手だ。ジョブズのいやみなところ、抑えの利かないところ、けんかっ早いところ、なんかをしっかり書いてあるけど嫌みにならない。家族と後継者たちへの配慮もある。

ジョブズが日本びいきなのは知っていたが、何度も京都へ来ていて俵屋旅館が定宿だったり、菜食なのに穴子のお寿司が大好きだったのも知った。
2冊ともにジョブズが選んだ写真が載っていて楽しい。パートナーのローリーンさんと笑っている後ろに、著者が〈裕福なホビットの家かという感じ〉と書いていた家が写っていてなるほどだ。
(井口耕二訳 講談社 1900円+税)

久しぶりにセイヤーズの「不自然な死」を読んだ

先日「セイヤーズ読書会をしたい」と書いたらセイヤーズが読みたくなって、あまり覚えていない初期のを取り出した。「誰の死体?」「雲なす証言」に次ぐ「不自然な死」(1927)で、前の2作よりも印象がうすい。そういえばだいぶ前に読んだときもそう思ったのを思い出した。「誰の死体?」はずいぶん昔の本を古本屋で手に入れて何度も読んでいる。「雲なす証言」はこの文庫がはじめてなのだが、繰り返し読んで楽しんでいる。2冊ともユーモアと余裕がある。「不自然な死」は好きとは言えないしもう一度読もうと思わないできたが、いま読んだら楽しいところはないがおもしろく読めた。

「不自然な死」は事件があってピーター卿やパーカー警部の登場となるのでなくて、ふたりがレストランで食事しているときに、会話を耳にした横のテーブルの男が話しかけてくる。医師である彼は殺人と思ったが自然死として処理された裕福な老婦人アガサの死について話す。席をピーター卿の部屋に移してより詳しく話した男は、もうすんだことだと名前を名乗らずに帰って行った。その話に犯罪性を見いだしたピーター卿は翌日から動き出す。

ドーソン嬢は遺言状を書かない主義で、当然自分の曾姪(看護士経験のあるメアリ嬢)に遺産がわたると言っていたが、英国の法律が変わって、遺言状がないと曾姪にはいかず国家にいってしまうようになった。そこで法律が変わる前に死ぬことが重要問題になる。自然死か殺人か、捜査を続けるとその後に罪なき女性の死体が発見される。

賢い犯人にバンターも翻弄され、ピーター卿も危うい目にあう。
ピーター卿の聞き込み代理人クリンプスンさんの活躍がめざましい。彼女の捜査人としての義務感と道徳観が矛盾をきたして逡巡するところがおもしろい。この活躍が発展していって「毒を食らわば」の大活躍になる。
(浅葉莢子訳 創元推理文庫 583円+税)

JACKFORDAZE at COMPUFUNK RECORDS BACKROOM

ブログを書き出してから夜遅く出かけても帰ってからすぐに感想を書くことにしていたが、昨日はさぼって寝てしまった。そうなるかなと昨日の分を書いてから出かけようかと思ったのだが、それもできなかった。さっきようやくタイトル+2行書いてあった昨日の日記に言い訳をプラスした。

昨夜は楽しみにしていた[2011/11/05/sat ■JACKFORDAZE at COMPUFUNK RECORDS BACKROOM ■DJs: Maako, HANDA, KONO ■Light: mind-bending ■PA :::yori:::]に行った。主催者のHANDAさんのDJはパノラマで少しだけ聴いたことがあるだけなので、ちゃんと聴いておきたかった。

話が勝手な方向へ飛ぶが、イアン・ランキンのリーバス警部シリーズをはじめて読んだとき、リーバス警部がローリング・ストーンズ好きなのでちょっとおどろいた。それまでジャズ好きな警官や私立探偵ものが多かったような気がしたから。そのときは60〜70年代にイギリスで青春時代を送ったらそうなるのかと納得した。ロバート・クレイスの私立探偵エルヴィス・コールも若いときのヒット曲をiPodに入れていて、若い女性に笑われたように覚えている。
いま読み終わったばかりの「スティーブ・ジョブズ」で、ジョブズはずっとボブ・ディランとローリング・ストーンズとビートルズ、そしてU2だ。

そうなのか、それでわたしだったら、セロニアス・モンク、アート・ブレーキーとかがいまのお気に入りになるはずか。妹は結婚したときパートナーに聴かされたジェリー・マリガンがずっとお気に入りだ。

だけど、そこんとこで違うのがわたしだ。ジャズから出発してフリージャズへ行き、転換してパンク、そして混沌の中から抜けていまテクノやファンクを聴いている。数年前までDJとはどんなことをするのかも知らなかったが、いまはDJがプレーする前で体を揺らしている。
テクニックとか常識的なことは全然わからないけど、ageishiさんは官能的やな、KIHIRAさんは革命的な気分の音を出す人やなということはわかる。主観なので実際そうであるかはわからんけど(笑)。
そして今回のHANDAさんの暗く重い音は311以後の気分を表していると思った。彼のサウンドデモにかけている時間や労力を知っているから、そこで生まれる絶望感を感じるから。そしてインテリやなって感じ。もういっこ直感的に思ったのは、おとこっぽい(笑)。

バースペースでいろんな若い人たちとおしゃべりし笑い合って楽しい過ごせて幸せな夜だった。だんだん知り合いが増えて手持ち無沙汰でなくなったのもうれしい。