シャーロック・ホームズ→新世界の串カツ店→ブルックリンパーラー

福岡からヴィク・ファン・クラブの会員Mさんが月曜日に大阪に用事があるので、会えるなら前日の今日ホテルをとると連絡があった。
日曜日のシャーロック・ホームズは5時閉店を昨日知って急遽4時待ち合わせに変更。初対面だったけどネットで親しいのですぐにしゃべり出す。筑前秋月の葛素麺と葛湯をお土産にもらった。
ギネスで乾杯、そしてフィッシュ&チップス。最初は6時待ち合わせで8時くらいから堀江へと思っていたのだが、明るいうちだからと予定を変えて新世界へ。

なんと新世界は4年ぶりだ。4年前にやはり会員のOさんカップルを案内して串カツを食べたのだった。入りやすい店なのか今日入ったのは同じ店だった(笑)。
串カツとウィスキーの水割り、わたしは1杯、彼女は数杯、串カツはわたしが15本、彼女が8本くらい。カウンターの端っこの席でしゃべる、しゃべる。
タクシーで心斎橋へもどってブルックリン・パーラーへ。わたしはコーヒーと焼き菓子、彼女はウィスキー他2杯とチーズ。そしてしゃべる、しゃべる。
会報と新しくはじめるサイトへの注文とか、わたしのブログへ助言とか、たくさん承った。その間にも家族のこととか過去のこととか、おんなの話は多様でおもしろい。

閉店近くまでいて外に出ると、雨が降って雷が鳴っている。Mさんのホテル近くまで送ってタクシーを拾って帰宅。まだお腹いっぱい。

筑前秋月の葛素麺でにゅうめん

いま振り返ったら昨日はMさんと4時から11時まで7時間つきあっていた(驚)。おしゃべりもここまでやったらすごい、われながら感心だわ。
ブルックリン・パーラーの階段を上がったら、御堂筋は雨が降っていて雷鳴と稲光にびっくりした。
帰るとお茶をいれてくれたので会談の報告をしながら飲んで、メールを見てブログを書いてお風呂に入った。さて寝ましょうと思ったら真上から落ちてきたような雷、ものすごい雨音で目が覚めてしまった。で、また起きて読書。川端康成の「千羽鶴」を読み終えた。すごい官能的な小説。若いころピンク地に白い千羽鶴の風呂敷が欲しかった。お弁当を風呂敷で包んで持ったらバンカラぽくてわたしには合わんかったけど(笑)。でも縮緬の風呂敷はいまも憧れ。何枚でも欲しい。

さて、今日の晩ご飯は、昨日お土産にいただいた葛素麺(天然純国産本葛)でにゅうめんをこしらえた。
焼酎の湯割りで、ニンニクをオリーブオイルでよく炒めて根菜(牛蒡、子芋、蓮根、人参)とトマトを煮込んだラタトゥイユ。野沢菜の漬け物と塩昆布。
そして、五分つきご飯と、子芋と蕪の葉の味噌汁に茹でた葛素麺を入れた。めっちゃうまくて上品で言うことなしのにゅうめんだった。あと2回分あるので楽しみだ。

P・D・ジェイムズ『策謀と欲望 上下』(3)

上下2冊でページ数が多い(上341ページ、下337ページ)上に字が細かい。内容は重厚。連続殺人事件が最初から出てくる。わりとあっさりとこの事件は終るが、その後は原子力発電所総務部長代理ヒラリー・ロバーツが殺され、自殺者が出て、船で海へ出て死んだ者もいる。そして男女関係が複雑に絡み合っている。

登場人物はその岬近辺に昔から住んでいる人間たち、発電所の関係者、反原発運動関係者と多彩。事件に関わる靴を履いた浮浪者をダルグリッシュが見つけて質問し、犯人ではないと判断して事件の靴と自分の靴と交換するが、浮浪者がいちばんいい靴を選んだのでガッカリするところは笑えた。

アレックスとアリス姉弟の緊密な関係、メグとアリスの固い友情、アリスが弟に命一つ借りがあったとメグにいうが、なんのことを言っているかメグにはわからない(読者にはわかる)。
政府上層部からの内密の問い合わせもある。

アダム・ダルグリッシュは叔母からの遺産として受け取った水車小屋をどうするか悩み、最後にいい解決をする。
メグはアリスとの約束を守ってダルグリッシュにさえ打ち明けないが、きっと推察しているでしょうと言う。メグはダルグリッシュに淡い恋心を感じていることに気がつく。帰り道で岬の小高いところに来て振り返ると原子力発電所が見えた。
(青木久恵訳 ハヤカワ文庫 上下とも640円+税)

P・D・ジェイムズ『策謀と欲望 上』(2)

ニール・パスコーは岬にあるトレーラーハウスにエイミーと彼女の赤ん坊とともに住んでいる。一人暮らしに母と赤ん坊が15カ月前に割り込んできたのだ。パスコーはトレーラー・ハウスに住み出して2年、北部の大学から〈イースト・アングリアの地場産業に対する産業革命の影響〉研究のために助成金をもらっている。論文はほぼ完成しているがここ半年は手を触れずに原子力反対運動にのめり込んでいる。
【海岸の端にあるトレーラー・ハウスからは脅威のシンボルであるラークソーケン原子力発電所の地平線を背にした姿が臨まれた。その存在に反対する彼の意思と同様に、妥協をいっさい排した厳しい眺めだった。ニールはトレーラー・ハウスを本拠にして、自分が創立し、会長を務める小組織〈原発に反対する人々〉、略称PANUPを運営している。トレーラー・ハウスは、幸運の贈物だった。】
6カ月経つと助成金が切れる。それに原発の一般公開日の説明会で総務部長代理と大げんかになり、それを会報の記事にしたため名誉毀損で訴えられている。働きたいと思っても、原発反対の経営者だって彼を雇おうとはしない。

夜になってリカーズ主任警部が来て、“ホイッスラー”事件は1年3カ月前からで、被害者は4人、すぐにでも次の被害者が出そうだという。ウィスキーを飲みながら真夜中まで二人は語りあったが、ある事件をきっかけにロンドンを去ったリカーズは辛辣な質問をしかけてくる。
アリスの夕食会に遅れてきた発電所のレシンガム部長が、来る途中で“ホイッスラー”事件の被害者を見つけたために警察にいたと言い訳したのが5人目の被害者だった。

“ホイッスラー”事件は解決はしたが、今度は原子力発電所の総務部長代理ヒラリー・ロバーツが死体で発見される。それだけではすまずに事件は続く。
ダルグリッシュはだんだん深く事件に関わっていく。
(青木久恵訳 ハヤカワ文庫 上下とも640円+税)

P・D・ジェイムズ『策謀と欲望 上下』(1)

何度も書いているけど、本格ミステリはこどものころから親しんでいたが、いっときミステリから離れていて、もどってからはハードボイルド一辺倒になった。浅羽莢子さんの訳が出るまでのドロシー・L・セイヤーズの戦前の古本をいくらか読んでいたが。
P・D・ジェイムズもそんなわけで読んだことがなく、長いことミステリファンの友だちもいなかったから名前さえ知らなかった。長生きしててよかった〜(笑)
今日これから「策謀と欲望 上下」の感想を書くが、これでアダム・ダルグリッシュ シリーズ完読だ。
シリーズではない「罪なき血」は持っているのでそのうちゆっくりと読む。SFの「人類の子供たち」は読んでないが映画化された「トゥモロー・ワールド」を見たからいいとしよう。

2010年に初めて読んでから何冊か読んだままだったが、今年になって女性私立探偵コーデリア・グレイものを読んだのがきっかけになって、まだ読んでなかったのを読みだした。

1962年 女の顔を覆え
1963年 ある殺意
1967年 不自然な死体
1971年 ナイチンゲールの屍衣
1972年 女には向かない職業☆
1975年 黒い塔
1977年 わが職業は死
1982年 皮膚の下の頭蓋骨☆
1986年 死の味
1989年 策謀と欲望
1994年 原罪
1997年 正義
2001年 神学校の死
2003年 殺人展示室
2005年 灯台
2008年 秘密
☆印の2冊はコーデリア・グレイものだが、「女には向かない職業」には、ダルグリッシュが登場しているし、「皮膚の下の頭蓋骨」では思い出と噂話に出てくる。

「策謀と欲望 上下」
物語の最初は若い女性が帰りのバスに乗り遅れ、ヒッチハイクをしようとするところ。彼女が連続殺人鬼“ホイッスラー”4番目の犠牲者となる。

ダルグリッシュは2週間の休暇を取ることにして仕事の整理をすませた。行き先はただ一人の叔母ジェインが住んでいたノーフォークの北東海岸。以前サフォークに住んでいた叔母が風車小屋を改造した家屋を買って引っ越していたが亡くなったので遺産整理をせねばならない。
出かけるところを同僚に呼び止められる。これから向かうところは連続殺人鬼の“ホイッスラー”が出没している。担当者は元ロンドンにいたリカーズ主任警部である。すでに彼が行くことは伝えてあるとのこと。
出かける前に詩集の出版社に立ち寄る。彼は仕事の収入がある上に叔母の遺産もあるので本の売上は気にしていない。編集者は彼の行き先の近所に住む料理研究家のアリス・メイアーに料理本のゲラを届けてほしいという。アリスの弟はイギリス屈指の物理学者で、すぐ側にあるラークソーケン原子力発電所の所長である。

アリスの家に行きゲラを渡すと食事に招待される。その帰りに会った子どもたちを車に乗せて送ってやり、その父の画家に会う。
アリスに招待されてこの辺りに住む上流人たちの集まりに行くと、素晴らしい料理とワインが供された。アリスの弟アレックス、原子力発電所の幹部職員たち。毛色の違うメグはロンドンで学校教師をしていたが進歩派による言葉狩りで辞めざるをえなくなり、そのあとに夫が事故で亡くなったので、この地の司祭館の家政婦募集に応じた。
パーティが終わるとダルグリッシュはメグを送って行き、ここへ来た事情や村の様子を聞く。
(青木久恵訳 ハヤカワ文庫 上下とも640円+税)

マーク・ロマネク監督・カズオ・イシグロ原作『わたしを離さないで』

翻訳が出始めたときから大好きでかなり読んでいるカズオ・イシグロだけど、「わたしを離さないで」(2005)は途中までしか読めず置いてある。
いま映画「わたしを離さないで」(2010 イギリス)を見終えて、現代SF小説の映画化だとわかった。

クローン技術で生まれた子どもたちが70年代のイギリスの田舎の広い屋敷に隔離され集団で生活させられている。彼らは注意深く教育され、一定の年齢に達すると臓器提供可能者としてコテージで過ごし、臓器が必要とされるときに病院へ送られる。
臓器の提供は3回ほどで【終了】となる。介護士は【提供】をはじめた者を介護するので、少しだけ余分に生きられるが、やがては【提供】する者になる。

ゆっくりした寄宿舎生活だけど悲劇的な雰囲気がただよう。真実を教えようとする新しい教師がすぐに辞めさせられる。
キャシーはちょっとはぐれっ子のトミーに関心を持っているが、友だちのルースがトミーと仲良くなる。

大人になったキャシー(キャリー・マリガン)は介護士になってルース(キーラ・ナイトレイ)の介護を担当している。ルースはトミー(アンドリュー・ガーフィールド)と仲良くなったのはキャシーとトミーの間を嫉妬したからだと言って、償いをしたいという。連絡するとトミーはすでに2回【提供】していたが元気だった。
愛し合っている者どうしなら提供猶予されるという規則があるとルースに聞いて、キャシーとトミーは当時の校長(シャーロット・ランプリング)に会いに行く。校長はそれは噂に過ぎないと否定する。
その後、トミーは3回目の【提供】で【終了】した。それからすぐにキャシーに提供開始の知らせがきた。

サガンの『スウェーデンの城』が出てきた

昨日に引き続いて今日も整理したり捨てたりと忙しかった。
本棚上段の文庫本が積み重なっているのを引き出したら、これも宝の山だった。谷崎潤一郎、川端康成、三島由紀夫、その他の日本文学は青空文庫に入ってないのが多いし、新しく文庫本で出ていないかもしれないからホコリを払って風を通した。
岡本綺堂「青蛙堂綺談」は父からもらって大事にしていた本だが青空文庫にあるから捨てた。
乙女ものの「ジェーン・エア」「秘密の花園」やら、吉屋信子の本も貴重だからまた大切にもとのところへ。

何度も読んだフランソワーズ・サガンの「スウェーデンの城」(新潮文庫 1973)はぼろぼろだが、新版が出ていないので貴重だ。いっしょに入っている「ヴァランティーヌの葵の衣装」も大好きだったっけ。
映画にはモニカ・ヴィッティとジャン・ルイ・トランティニアンとジャン・クロード・ブリアリが出てる。見たいと思って検索したらえらい値段がついていて買うのは無理。YouTubeで予告編を見たらトランティニアンが若くて美しい。

そんなことで今日の読書は懐かしい本を斜め読みして終った。

今夜のご飯は『剣客商売』

晩ご飯は大根の炊いたんと薄切りの蓮根を炒めたんときんぴら牛蒡で焼酎の湯割りを呑み、玄米ご飯と里芋と車麩の味噌汁と梅干し、そのあとに三年番茶だった。
「おはるみたいやな」と自然に言葉が出て、久しぶりに「剣客商売」を思い出した。相方に言わせると野菜を買ったところから、おはるの世界だったそうな。古い民家の玄関口に棚や台をつけたような店で商っている。まるでおはるが実家で笊に入れてもらったような野菜をリュックで運んできた。

そしたら「剣客商売」を読みたくなり、本棚を探したが見つからない。16冊まとまっているので、箱に入れて押し入れに仕舞ったのかも。押し入れまで探す気がないので、当ブログのカテゴリーから「池波正太郎」を探したら、あった、あった、「剣客商売」最後の16冊目まで書いてあった(2004年1月から6月)。それを全部読んで一応満足できた。書いておくものだなあ、日記。

「今日は妙に冷える。おはる。夕餉(ゆうげ)は、油揚げ(あげ)を入れた湯豆腐(ゆどうふ)にしておくれ」(15巻「二十番斬り」)

ブログは毎日、会報は毎月

タイトルどおりにブログ「kumiko日記」は10年以上一日も休んでないし、ヴィク・ファン・クラブの会報も20年以上続けている。持続力あるなあと自分でも感心する。ほんまによう続けております。自分で自分の生きる力に感心してたりして(笑)。

先日、昔の会員がツイッターで見つけたとフォローしてこられた。まだVFCやってるのでびっくりしたみたい。
ブログを見てのメールもたまにいただく。持続力だけは自慢できると思う。もちろんそれだけではないよという自負はありますけど。

今日から会報づくりにかかっている。1カ月間の会員メールを整理してレイアウトしプリントとコピーを終らせた。あとは連載記事や特集記事のページである。
表紙絵はここ数年ずっとパンク姐貴の鬼蔵さんにお願いしている。
先月帰省していた、いまはパリ留学中のTさんの娘さんS子さんが書き残していったイラストも先月から使っている。

ヴィク・ファン・クラブは来月で23周年である。まだまだやっていきまっせ。

堀江散歩はベースとジョローナで決まり

低気圧のせいか体がだるいような気がする。座っていて立つと膝がぎくしゃくする感じ。これは台風の影響やでと熱い三年番茶を飲んでいる。効いてくれよと願いをこめて(笑)。
これも台風の影響か昼間は暑かった。家ではTシャツだけど夕方外出するのに薄いセーターを着たら汗だくだった。さすが夜は涼しくなってカーディガンを着てる。

姉のバースデープレゼントを買うつもりで夕方堀江を散歩した。ぶらぶらしてからベースへ寄って久しぶりに店主の琴美さんと会っておしゃべり。おいしいホットチョコレートをつくってもらった。メキシコ風とのことで、チョコレートにシナモンやカルダモンや生姜や唐辛子やマシュマロが入っていて豆乳ベース。これはうまかった。いろいろしゃべってヴィーガンケーキを土産に買った。

次は同じ並びにあるセレクトショップ ジョローナへ。さて、姉へのプレゼントだ。
寒くなって椅子に座ったときに掛けたり巻いたりする大きなスカーフを買うつもり。しゃれた柄のスカーフがあってこれにしようかと思ったが、これはどうかとしらと出してきはったのがスヌード(輪っこになったスカーフ)。二重になっていて片面はオレンジ色の毛糸のレース編み、片面はグレイ地の柄物シルクだ。気分でどっちでも使える。
それに決めて値段は予算内でいけた。よかった〜