ロバート・ロレンツ監督『人生の特等席』

2012年製作のクリント・イーストウッドの俳優としての引退作。監督のロバート・ロレンツは長年イーストウッドとともに働いてきた人である。
わたしはクリント・イーストウッドのテレビ映画「ローハイド」(1959年から放映、日本ではいつからだろう)からのファン。「フェイバーさん、フェイバーさん」とリーダーに呼びかけていたのを真似したものだがそれは吹替えの日本語(笑)。マカロニ・ウェスタンもダーティ・ハリーも何度も見ている。「ガントレット」「タイトロープ」が特に好き。「ピアノ・ブルース」が素晴らしい。

メジャーリーグのスカウトとして実績のあるガス(クリント・イーストウッド)は引退間近で、最近とみに目が悪くなっている。家具につまずいたり、車をガレージにぶつけたり、眼科に行けという忠告も聞かないで野球を心眼で見続けている。
一人娘ミッキー(エイミー・アダムス)が6歳のときに妻が亡くなり娘を親戚に預ける。その後も寄宿学校に入れ、ミッキーは勉学に励み弁護士になるが、父と娘の間はぎくしゃくしている。
フロントの人たちはガスの功績は認めながらもいまの状況に不安を持つ。そこへ出しゃばってきた若手は試合を見ずにコンピュータの実績で自分を売り込む。
フロントのピート(ジョン・グットマン)はミッキーに電話してガスの状況を伝える。ミッキーは重要な仕事を受け持っているところだが、パソコンと電話で仕事をしながら、父のスカウティングの旅に同行する。
かつてガスにスカウトされた元選手のジョニー(ジャスティン・ティンバーレイク)はミッキーに惹かれる。玉突きも野球の知識もスカウトの能力も人一倍あるミッキーも心に傷を負っていた。
ゆるゆると父と娘の距離が縮まり、若い二人の心が通い合う。

マーク・レヴィン監督『幸せの1ページ』

肩こりを癒してくれるような映画を見たくなって探し出した。2008年のアメリカ映画。原作はウェンディー・オルーの「秘密の島のニム」(あすなろ書房)。

海洋生物学者の父ジャックと南の無人島に住む少女ニム(アビゲイル・ブレスリン)は動物たちとも仲良く暮らしている。木造の工夫を凝らした家にはパソコンもあるし無線通信もできる。ニムは家事をこなし外でも働くかたわら、読書好きでいま夢中になっているのはアレックス・ローバーが主人公の冒険小説である。ジャックが研究のため2日間船で出かけるが、ニムはしっかりと留守番できると父に約束する。
一方、サンフランシスコのアレキサンドラ・ローバー(ジョディ・フォスター)は冒険小説家なのに家から一歩も外に出られないという引きこもり病。ネットで海洋生物学者の記事を読み、教えてもらいたいことがあってジャックにメールする。父が留守なのでメールをニムが読みメールのやりとりがはじまり、ニムからSOSがくる。

嵐で海は荒れ狂い、ジャックの船もやられて海原を漂う。動物たちに助けられ自力で船を補修しながら困難な努力を続ける。
アレキサンドラはサンフランシスコから飛行機を乗り継ぎ、最後は船で島に渡ろうとするが、困難と失敗の連続である。小説の主人公がときどき現れて皮肉ったり戒めたり。
ニムは動物たちといっしょに島で待つが2日経っても父から連絡がない。島に目を付けて観光地にしようとする奴たちが現れて気が気でない。彼女は反撃をはじめる。

出演者を気にせずに見ていて、最初の外出恐怖症のときは気がつかなかったが、旅行中の滑稽なところが可愛らしくてジョディ・フォスターだとわかった。えらく笑わせてくれた(笑)。島に着いてからは自然にジャックと手をつなぐ。
この映画、肩こりに効く。

モンス・カッレントフト『冬の生贄 上下』(1)

ヴィク・ファン・クラブ会報5月号に紹介された本書を読まなければと思いつつ、いまごろになってしまった。
【『ワシントン・タイムズ』の「カッレントフトは荒々しいスウェーデン社会を鮮やかに描き出した」と腰巻きにありますが、“荒々しいスウェーデン社会”なんて、ミステリーでしか知り得ないのではないでしょうか。】と会員の山田さんが書いておられるのを読んで共感した。わたしもミステリーを読んでいるおかげで、スウェーデン社会だけでなく僻地に住んでいる人たち、大都市の片隅に住んでいる人たちの息づかいを感じることができている。

スウェーデン、リンショーピン市警の犯罪捜査課刑事モーリン・フォシュは朝起きてシャワーから出てバスロープ姿でキッチンへ。片手にパンもう一方の手にコーヒーを持って窓の外を見ると街灯の光の中で空気が凍りついているようだ。マイナス20度。娘のトーヴェはもう少し寝かせておこう。ジェーン・オースティンを愛読しているませた娘だ。
モーリンは33歳、170センチのスリムな体、ジーンズにキャタピラーブーツを履いて黒のフェイクダウンのジャケットを着る。別れた夫のヤンネとは17歳と20歳で出会い、2年後にトーヴェが生まれた。離婚したが穏やかなつきあいは続いている。

部屋の中は温かいが共用の階段までくると温度はマイナスになる。扉を押し開けて車に飛び込む。車のエンジンがかからないとあせっていると、同僚のゼケから電話があり事件だという。最悪の事件だと。
マイナス30度の雪原に木から吊り下げられた死体があった。枝は地上から5メートル、着衣なし。「これをやった犯人は悪魔のような強い目的意識を持っていたんでしょうね。その死体を木の上に引き上げるのは簡単なことじゃないわ」
死体を見ながらゼケ「今はもう肉の塊だ」モーリン「でも、わたしたちに語ることがまだあるはずよ」。

新聞記者のダニエルがやってきた。ゼケはダニエルを好いていない。優秀なら地方新聞でなにやってんだと思っている。ダニエルが優秀なのはモーリンが知っている。二人は恋人ではないが肉体関係がある。
監察医のカーリン・ヨハニソンが来て捜査を始めた。高価なダウンを着たエレガントな彼女は中年のフランソワーズ・サガンのようだ。

署へもどると署長のカリムを中心にミーティングがはじまった。カリムは移民だが勤勉と精勤でここまできた。生きた実例としてのカリム。努力すれば疎外感は連帯感に変えられるはず。

最初からぶっとばしていくので読み出したら目が離せない。
死体の身元がわかり、学者から「冬の生贄」についての解説があり、手抜きのない捜査でいろいろとわかっていく。
モーリンは娘のトーヴェが女友だちと言っていたのにボーイフレンドに会っていたことに苛立つ。
(久山葉子訳 創元推理文庫 1000円+税)

モンス・カッレントフト『冬の生贄 上下』(2)

スウェーデンのミステリーを最初に読んだのはヘニング・マンケルのクルト・ヴァランダーシリーズで、これも山田さんに教えていただいた。翻訳が2001年から出ていたのを2005年に続けて3冊読んで魅了され続けてずっと読んでいる。
マンケルの特徴はスウェーデンの最南端スコーネ地方で起きた事件でありながら、諸外国と関わりがある犯罪であることだ。ヴァランダー警部は温厚な人だがしつこく事件を追い、遠国のとんでもないことに巻き込まれる。血圧は高いし糖尿病でしんどいにも関わらず頑張り抜く。

それまではスウェーデンといえば、映画「野いちご」などの監督イングマール・ ベルイマンくらいしか思い浮かばなかったが、ヘニング・マンケルのパートナーがベルイマンの娘さんと知って両方ともますます好きになった。
本書の中でモーリンの娘トーヴェが別れた夫のヤンネの家で5本映画を見たと報告するシーンがある。「全部イングマール・ ベルイマンよ」というが、ウソは簡単にバレる。それだけ偉大な監督として名前がとどろいているのね。熱烈「野いちご」ファンとしてはうれしいかぎり。

猟奇殺人というか異常な死体の晒されかたで度肝を抜く発端だが、警察の捜査は一歩一歩確実に進んで行く。なにごとも疎かにせず調べに調べ抜く。関わりがあるかもしれない過去の事件も掘り起こして調べる。落ち着いて読めるのは警官たちの間が和やかなことかな。モーリンと組んでいるゼケは40代で合唱団に所属しており、息子はアイスホッケーのスター選手である。ゼケが悪い警官モーリンが良い警官に役割を決めて行う尋問も納得いく。

トーヴェに恋人ができ、ちょっとばたついたことがあったが、モーリンにちゃんと挨拶したし、相手の親の医師夫妻から食事に招待される。こんなことも落ち着いて読めた要素かもしれない。別れた夫とも静かな関係だし、肉体的につきあうダニエルもまともな新聞記者だし。

署長のカリムはクリーニング店へ服を受け取りに行く。店主はイラク出身でありフセイン政権から家族を伴って逃げてきたこと、もともとはエンジニアであり本来送るはずの生活について話したがったが、カリムは忙しいからと聞こうとしない。スウェーデンでは外国人は下級な人間と見なされていて、サービス業で生活を支えている。移民がクリーニング店やピザ屋をやるのを禁止したらいいとカリムは思う。カリムの父を死に追いやったのは内に向けた暴力だった。
訳者あとがきが親切丁寧でスウェーデン社会のことがよくわかる。
(久山葉子訳 創元推理文庫 1000円+税)

フィリップ・J・デイヴィス『ケンブリッジの哲学する猫』

先月のヴィク・ファン・クラブ例会は一人例会になったので、2時間本を読んだあとにジュンク堂へ行った。そのとき買った本の1冊がフィリップ・J・デイヴィス「ケンブリッジの哲学する猫」(ハヤカワNF文庫)。ずいぶん昔に評判になったのを覚えていたが、最後のページに社会思想社から1992年に単行本で出版されたとある。読みたいと思ったのに買うのを忘れていた本だ。
これはギネスを飲みながら読むのにふさわしいと置いておき、今日は本書を持ってシャーロック・ホームズへ。思った通りの一人例会になり、ギネスとサーモンサラダとサンドイッチを食しながら読みふけった。コーヒーを飲んでちょうど2時間、最後はフルスピードで読み終え、帰ってからもう一度開いて楽しんでいる。

トマス・グレイと名付けられた雌猫の物語。
イングランド東部の沼沢地で生まれた彼女は、独り立ちできるようになったので地元の職業カウンセラー猫に会いに行く。老雌猫のメフラウはオランダからあるじ一家とやってきた出稼ぎ労働者である。メフラウは彼女の優秀な知能とはきはきした話し方から判断して、ケンブリッジへ行くことを勧める。
彼女はケム川を遡る船に乗り何度か乗り換え、ケンブリッジに到着するとひらりと船から飛び降りてコレッジの中庭に入っていった。
コレッジでいろいろな学者といろいろな出会いがあって、トマス・グレイという名前をもらい、ケンブリッジ大学の中枢で暮らすことになる。
トマス・グレイはルーカス・ファイスト博士の部屋に入りごろにゃんと呼びかけ、この学者をたちまち魅了した。ひとりの学者と一匹の猫の恋愛ともいえる関係。
このあとの物語がすごくおもしろくてためになる。そしてほんわかする。
たくさん入っているイラストがオシャレ。猫がめちゃくちゃ可愛く描かれている。
(深町真理子訳 ハヤカワNF文庫 700円+税)

大和和紀『あさきゆめみし』全13巻

麗しい姫君が美しい衣装に黒髪を散らして苦悩する。源氏の君に抱かれるやんごとなき姫、罪を悔いつつも恋の歓びにもだえる人妻。大和和紀さんの絵が素晴らしい。

Cさんからどばっと宅急便で届いたときはびっくりしたが、あっと言う間に読み終えた。最初はストーリーがおもしろいのでどんどん読み、二度目は味わいつつゆっくりと読んだ。勝手な感想だけど、マンガは文字を読んでいくのよりずっと早いので忘れてしまうのも早い(笑)。最後までいき二度目を読んでいるうちに、味わいかたを自分で調整したらいいんだと気がついた。当分は現代訳を読まなくてもいけそう。原文を読むのは岩波文庫を捨てたときに諦めている。

紫式部はすごい人だと改めて感じ入った。
物語の骨組みがすごくしっかりしてる。女人たちのタイプがそれぞれのタイプの典型である。女性たちそれぞれの生き方がいきいきと描かれている。その上でどうしようもない運命に翻弄される。
論理的な頭脳の人だ。式部本人は論理的な人で、書かれているのは情緒的な人な感じ。20世紀の吉屋信子が似ていると思った。

好きな女人はだれかしらと考えたが、どなたも好きで、どのかたがいちばん好きと言いにくい。

物語の中では「野分」が好き。
今回、源氏物語よりも宇治十帖のほうが好きになった。
(1〜13 講談社)

ルパート・サンダース監督『スノーホワイト』

去年(2012)の6月に劇場公開された映画。だれでも知っているグリム童話の「白雪姫」なんだけど、見ていて○○みたいと思ったところが多かった。はじめは、まるで「マッドマックス」やなと言っていたし「指輪物語」や「ロビンフッド」ぽくもあった。
暗い森で白雪姫が髪をなびかせながら動物たちと奥へ奥へと走るシーンは、うちにある「白雪姫」の絵本(アンジェラ・バレット)と同じ。暗い森と走る姫。

継母(シャーリーズ・セロン)のワルぶりが貫禄があった。若い女性の血で補って若さを保っていて美しいときも、老いが表れ最後には老婆になるすさまじい場面もよくやっていた。スノーホワイト(クリステン・スチュワート)は美しく逞しい役をよくやっていたけど、主役はどっちかというと貫禄でシャーリーズ・セロン。

ともに戦ってきた猟師のエリック(クリス・ヘムズワース)がキスして姫が甦るのがおもしろかった。王子様がやってくるのを待っているのではなく、ともに戦った彼のキス。それでもキスされたとき甦るのではないのがおもしろかった。即位してから遅れてきたエリックの顔を見てちらっと笑うところがよかった。

ルネ・ギヨ『一角獣の秘密』

「貴婦人と一角獣展」を見に行く前日にこの本があるのを思い出した。
1970年に出た本で買ったときに熱中して読んでそのまま置いてあった。本の整理をするときは〈もう一度読みたい本〉に分類してたから愛着はあったのだが、一度も読んでなかった。
美術館に行った翌日に読んだのだが、分厚いが紙が厚くて字が大きいので一晩で読めた。良かったという以外に忘れていたので〈一角獣〉が美術館で見たタピスリーとは関係ない話というのがわかってちょっとがっかりした(笑)。

ルネ・ギヨは1900年生まれのフランス人で、大学を卒業した25歳のときに仏領(当時)西アフリカのダカールで高校の教師になった。それから25年間アフリカで暮らし、休みの日は奥地のジャングルまでニジェール川をカヌーで遡った。50歳になったときフランスにもどり作家として約20年間、たくさんの作品を書いた。たいていはアフリカのジャングルと動物を描いたものだが、本書は他の作品と比べると異色だそうだ。

リュウ伯爵家は300年の間に人手にわたって分割されてしまったが、残った建物から書類箱が発見された。最後のリュウ伯爵が羊皮紙に書き残したものをギヨが再現した、という前書きから物語がはじまる。

リュカはフランスの大西洋に面した西海岸の港町ブルアージュに近い森のある小さな家で生まれた。父はリュウ伯爵家の狩猟長として仕えていた。リュカに勉強をするように城の執事が命じたのでリュカは読み書きができる。
城には老伯爵とリュカと年が同じの男女の双子の孫が住んでいて、リュカは最初は伯爵の側つきの召使いとして雇われ、後にリュックのお相手に取り立てられる。リュカはたまに姿を見せるマリ=アンジュに憧れる。

伯爵家は盛んなときは大砲で武装した大フリゲート艦が率いる艦隊を持っていたが、いまは二隻のフリゲート艦が任務についている。世界の隅々まで航海して獲物が多そうな船を見つけると大砲の火薬に火をつけて攻撃する。こうして得た富が伯爵家のものとなった。
森で鍛えたリュックの海への出陣のときが来た。リュカは同行を命じられる。
リュックとマリ=アンジュの謎がここで明らかにされ、リュカはマリ=アンジェへの想いを胸に冒険の旅に出発する。
(塚原亮一訳 学習研究社 少年少女・新しい世界の文学—5)

バースディケーキ

今日は姉の誕生日パーティだった。
姪2人の発案で、上の姪Sはお弁当を、下の姪Aはお酒とおかず、姪の子ども(独身の20代から30代)の4人で花束、わたしと相方はバースディケーキを担当することになった。お昼から夕方まで、食べて、写真を撮って、古い写真帳を眺めて、おしゃべりして、笑って過ごした。

わたしは生まれて初めてバースディケーキを買った。大丸のケーキ売り場でいちばん大きな生クリームとイチゴのやつ。3日前までに注文して当日もらいに行くしくみになっているのをはじめて知った(笑)。大人ばかり10人で食後に多くもなく少なくもなくちょうどよかった。姉は生まれてはじめてケーキのロウソクを消してハッピーバースデーをみんなに歌ってもらった。

こどものときは誕生日には父親が本を買ってくれたのだけ覚えているが、ハイカラな父親はなんやかやとその子に向いたことをしてたらしい。母親の回想では、超ビンボーなときに駄菓子屋でお菓子を買ってきて色紙でくるんで子どもたちに配ったとか。とにかく貧乏人の子沢山というのがうちだった。

姉のところもわたしのところも配偶者が変わり者の上にこどもがいないし、誕生日といっても特になにもしてこなかった。外食とかはしただろうが、家でケーキなんてね。というわけで初体験は楽しかったです。二度目はもういらんが(笑)。

国立国際美術館で『貴婦人と一角獣展』

地下鉄の駅に貼ってあるポスターを見て、ちょっと見たいなと思ったときは暑かった。そのまま忘れていたが、VFCの例会でYさんが招待券をくださった。10月20日までやってるから涼しくなったら行ってねとのこと。この間までほんまに暑くて動く気がしなかったが、終了日が目前になって慌てて行ったわけ。実は昨日の4時過ぎに家を出て歩き出して気がついた。美術館は5時までだ。ということで今日は3時過ぎに家を出た(笑)。

国立国際美術館はわりとうちから近くて歩いて行ったこともあるし、散歩で通ったこともある。しかし最近は膝が悪いから乗り物を利用する。ところが地下鉄もバスも降りてからがけっこう遠い。美術館では立ったり歩いたりだから疲れるのでつい億劫になる。
ぶつぶつ考えながら地下鉄で肥後橋へ出て歩いた。いま調べたらここに入るのは三度目だ。一度目は美術館ができてからすぐの「マルセル・デュシャン展」(2004年11月)、二度目は「ゴッホ展」(2005年7月)。それ以来である。

なぜちょっと見たいなと思ったかというと、「貴婦人と一角獣展」のタピスリーについて覚えがあったから。ファイル魔の相方のファイルに30年くらい前の雑誌「マリクレール」の連載、木島俊介「女神たちの変身」が26回分ある。これを覚えていた。一回目の見開き写真のタピスリーの本物が見られるのだから、ちょっと行きたくなるでしょ。それでファイルを出して昨夜にわか勉強した。
それとルネ・ギヨの「一角獣の秘密」という少年少女向けの本があるのも思い出した。いま開いて読み出したところ。

美術館はけっこう混んでいた。みんな涼しくなったのと、終了が近くなって慌てたのかな。でも大きなタピスリーだから少しくらい混んでいても大丈夫だった。
近くで見る織物の質感が素晴らしい。地色の赤が美しく全面にちりばめられた樹木や小さな花がめちゃくちゃ奇麗だ。
細かいものを伸ばして展示してあるところに、さまざまな「野の花」があって、わたしは狂喜して見ていた。ちょうどその前にベンチがあったので座って長いこと眺めていた。スミレやスズランやマーガレットなどすっごく可愛い。
一角獣、犬、兎、猿、猫、動物たちがみんなすごくノーブル。
これが1500年頃のものとは! そして19世紀の作家、メリメやジョルジュ・サンドが素晴らしいと言ったために世間に広まったという。
Yさんありがとう。中世を楽しみました。

中之島筑前橋で風に吹かれていたら寒い。そのあたりでお茶して帰ってきた。焼き芋が焼き上がりほうじ茶の香りが漂っているわが家最高(笑)。