ジム・シェリダン監督『マイ・レフトフット』

自分が見た順だけど、「ボクサー」(1997)、「父に祈りを」(1993)に次いで、「マイ・レフトフット」(1989)を見た。ジム・シェリダン監督とダニエル・デイ=ルイス主演のアイルランド映画。

ダブリンに住むブラウン夫妻は子だくさんで22人のこどもを生んだ。そのうち育ったのは12人で、主人公クリスティは10番目の息子。
生まれついての重度の脳性小児麻痺により左足しか動かせない。床を転がって意思表示をし、親もきょうだいも近所の子どもたちも自然に接している。母(ブレンダ・フリッカー)は次々に子どもを産んで忙しいなか、車椅子用のお金をブリキ缶に貯めている。
初めて「MOTER」と左足にはさんだチョークで書くと、父はクリスティを担ぎ上げて酒場へ連れ出し、「おれの息子は天才だ」と叫ぶ。

左足だけで描いた絵が世に出て名前が知られるようになるが、父が失業して遅くまで起きていると石炭が買えないから寝るように母に言われる。翌日には石炭搬送トラックを停めるようにしむけて石炭泥棒するのを兄弟に指示するクリスティ。底抜けの陽気さを持った少年なのだ。

施設にリハビリや発声の訓練に行くようになるが、彼は子どもではないと主張し、女医アイリーンが家に来てくれる。発声練習で彼は話すことができるようになった。アイリーンは彼の個展も開いてくれた。アイリーンを愛するようになるが失恋の大きな苦しみを味わうことになる。彼は酒をストローで一気飲みして荒れる。
苦しむクリスティに、母はつるはしを持って狭い庭にクリスティの部屋をつくるべく奮闘する。父も兄弟も協力して部屋は出来上がったが父が倒れる。

その後、自叙伝「マイ・レフトフット」がベストセラーになり名声を得た彼に、アイリーンがチャリティコンサートで挨拶をしてほしいと頼む。その会場で付き添いにあたった看護婦メアリーにしつこくアタックするクリスティ。
最後は二人がダブリンの歴史的文学的な丘(地名を知りたい)で並びシャンパンで乾杯。

ジム・シェリダン監督「父の祈りを」

ジム・シェリダン監督作品「父の祈りを」(1993)は紹介されたときから見ようと思いつつ見ていなかったので感慨ひとしお。
「マイ・レフトフット」(1989)と「ボクサー」の間の作品で、3作ともダニエル・デイ=ルイス主演。

ウィキペディアより
【1974年にIRA暫定派によって実行されたロンドンでのテロ事件であり、英国の司法界史上最大の汚点とされるギルドフォード・パブ爆破事件を元に、冤罪で逮捕されたアイルランド人ジェリー・コンロンとその父親の、再審への長い戦いを描く。】

長いことイギリスのミステリ小説のファンをやっているから、スコットランド・ヤードの刑事さんたちに好意(?)を持っているけど、あれは大衆好みのフィクションであって、この映画の警察が本当の警察なのであるとガツンとやられた。
警察は、自白強要、証処のねつ造、アリバイ証言隠しを行い、施行されたばかりのテロリスト防止法を使って逮捕拘留する。

定職を持たず遊び半分で盗みをして逃げるジェリー(ダニエル・デイ=ルイス)は、IRAにも睨まれる。父親(ピート・ポスルスウェイト)にロンドンへ行けと言われて友人のポールと船に乗る。ロンドンでヒッピーの知り合いのところへ転がり込んだが、喧嘩して公園のベンチでホームレスの老人に金をせがまれて持ち金を渡す。拾った鍵で入った娼婦の家で現金を盗む。ちょうどそのころにギルドフォードでパブが2軒爆破された。
盗んだ金で買った服を着て実家にもどったところをギルドフォード事件の容疑者として逮捕される。
警察の取り調べが続き、ポールがまず落とされて嘘の自白をさせられる。拷問のような取り調べの結果、ジュリーは白紙の供述書に署名する。友人のヒッピーやジェリーの父やロンドンの叔母の一家まで警察によってねつ造された証処で逮捕される。

父は無実であると再審を訴え続けて手紙を書き続けていたが、獄中で死ぬ。刑務所の囚人たちは火をつけた紙を窓から運動場へ投げて彼を悼んだ。
その後、ジェリーは再審請求に熱心に取り組み、女性弁護士(エマ・トンプソン)は警察が隠していた書類を探し出し、事件から15年後に再審で無罪を勝ち取った。

ジム・シェリダン監督『ゲット・リッチ・オア・ダイ・トライン』

ジム・シェリダン監督「ボクサー」(1997)を先日見てからシェリダン熱があがって、今日は「ゲット・リッチ・オア・ダイ・トライン」(2005)を見た。あまりにもなにも知らなくて恥ずかしい限りだが、まあぼつぼつ見ていこう。

かなり前だけど「8マイル」を見てはじめてエミネムを知った。それほどにヒップホップを知らない。そのエミネムが惚れ込んだという50セント(カーティス・50セント・ジャクソン)のこともいままで全然知らなかった。主人公のマーカス=50セントを本人50セントが演じている。

マーカスは麻薬の売人をしている美しい母と暮らしていて、ラップの歌詞を思いつくと書き留めている。麻薬関連で母が殺され、マーカスは大家族の祖父母のところへ引き取られ地下室で暮らすようになる。そこからの脱出のために麻薬の売人となって頭角を現していく。現金を溜めてベンツを買うまでになり、幼なじみのシャーリーンと再会する。
コロンビア人たちとの抗争があり、仲間が半身不随となったことから報復に向かう。麻薬を持っていたことで警察に捕まり投獄される。シャワー中に刺客に襲われ同室のバマに間一髪救われ、血だらけのふたりは〈兄弟仁義〉のような関係になる。暗黒の牢獄に閉じ込められたとき、真実を書いて行くと決意し刑務所内で曲作りに没頭する。バマは出所したらマネージャーをやると約束する。
出所した彼を待っていたのは2台の車だったが、迷わずバマの車に乗る。
シャーリーンと結婚して子どもが生まれ、デモテープを作ってレコード会社に売り込みにまわる。しかし麻薬組織の手が回っていてとりあってもらえない。
ついに強盗をし、仲間割れもしたマーカスは襲われて銃弾を浴びるが奇跡的に助かって、シャーリーンのもとに戻る。やる気をなくしたマーカスだが、妻と子どもの存在が励ましとなって曲作りに励み、ついにライヴを行うことになった。

会場にはもしかしたら自分の父親かもしれない組織の男が待っていた。
戦いを終えて舞台に上がったマーカスは、上着を脱ぎ、妻が着せた防弾チョッキを脱ぎ、ランニングを脱いで歌いはじめる。

ジム・シェリダン監督「ボクサー」

なんとここにはアイルランドを代表する映画監督ジム・シェリダンの映画が8本ある。そしてわたしはジム・シェリダンの映画は「ボクサー」1本しか見ていなかった。見るべきだった「マイ・レフトフット」「 父の祈りを」を重そうだなと敬遠してから20年近く経っている。

今日見たのは「ボクサー」。
1997年製作というと17年前か、ダニエル・デイ=ルイスが美しくて若くてたくましい。エミリー・ワトソンも若々しさのなかに苦悩を秘めて役にぴったり。

北アイルランドの刑務所内の庭でダニーがひとりでボクシングの練習をしているシーンからはじまる。ダニーはIRAのテロリストとして捕まり14年間拘束されていた。IRA幹部の娘マギーとは恋人どうしだったが、マギーはダニーの親友と結婚して息子がいる。いま夫は獄中である。
ダニーはボクシングの先生だったアイクを探してまたボクシングをはじめる。
マギーの父は指導者として穏健な路線でいこうとするが、過激派の中心にいるハリーは先鋭な動きをしようと勝手に動く。ハリーのせいでダニーは捕まったのだ。
ダニーとマギーは人がいない海岸やイギリス占領地域でひそかに会う。
ダニーはボクサーとして生きようとし鍛錬するし、子どもたちにも教える。ダニーの反対にもかかわらずアイクがジムに警察の金を受け入れる。
大掛かりなボクシング試合が企画され、開始前に「ダニーボーイ」の大合唱があって会場は盛り上がる。
試合が終わったとき警察幹部がハリーたちが仕組んだ爆破テロの犠牲になる。そして騒ぎの中でマギーの息子によってジムが放火される。

ジュリアン・フェロウズ監督『孤独な嘘』

ジュリアン・フェロウズの初監督作品(2005)で、原作はナイジェル・バルチンの小説「A Way Through the Wood」。日本では劇場公開なしでDVD発売のものを見た。イギリスの上流階級のお話である。善くも悪くも紳士と淑女。下層階級の人たちは肝心のところでシャットアウトされるのをまざまざと見せた。

裕福な弁護士のジェームズ(トム・ウィルキンソン)はロンドンと郊外に住まいを持つ。郊外の家には美しい妻アン(エミリー・ワトソン)がいる。ある日、家政婦の夫が自転車で走っていてひき逃げ事故にあって亡くなる。その自動車は近くの名家の息子ビル(ルパート・エヴェレット)のものだと家政婦はいう。実はビルと浮気していたアンが運転していた。それを知ったジェームズは自分の地位を守り妻をかばうために嘘の証言をする。家政婦は以前犯した罪をアンがかばってくれた過去があるので証言を取り消し、刑事は怒りにふるえつつ帰って行く。
その後は静かに暮らしていた夫婦だが、ビルが癌で余命幾ばくもないと知ったジェームズはビルを病院に訪ね、口止めされたのに帰ってアンに話す。アンはビルの世話をするために出て行く。ジェームズはアンを愛している自分に気がつき黙って一人暮らしを続ける。ビルはアンの介護のおかげで診断より長いこと生きることができた。
ビルの葬儀が行われジェームズはアンと再会する。アンはビルの家族とは関わりがないからロンドンへ行ってビルのアパートに住むという。ジェームズは彼女を駅まで見送る。その前にランチをする時間があるとアンがいう。

ナイジェル・コール監督『カレンダー・ガールズ』

ばたばたの毎日だが久しぶりに映画を見る気分になって、多分これは笑えると思えるのを見つけた。楽しそうなタイトルの「カレンダー・ガールズ」(2003)。わが魂の故郷である(?)ヨークシャーの話ということも見る気を誘った。ヨークシャーであった実際の出来事の映画化なのである。

イギリスヨークシャーの田舎町ネイプリーの婦人会では、女性たちが毎週木曜日に集まって料理レシピを発表したり賛美歌を歌ったりして親睦をはかっている。中心になっているというより指導者みたいな女性がいてみんなを引っ張っている。
アニーとクリスは仲良しで婦人会では異端者である。今年もクソ面白くもないカレンダーを作るという話にうんざりしている。

アニーは最愛の夫ジョンを白血病で失った。ジョンが婦人会で話す予定だった原稿に「花は盛りを過ぎてからが一番美しい」とあった。クリスはジョンの感謝の気持ちをこめて病院の待合室にソファを寄付しようと思いつく。その資金としてわたしたちのヌードカレンダーを作って売ろう。提案するとなんと50代の女性たちが次々にわたしも脱ぐという。「もちろん脱ぐわ。私、もう55歳よ。今、裸にならないでいつなれって言うの?」とピアノを弾いているおとなしい女性。
カメラマンはジョンの病院の看護師でアマチュアカメラマンのローレンスに頼む。紆余曲折の末にローレンスは彼女たちのさまざまな日常生活の姿の自然な美しさを撮る。

カレンダーが出来上がるとたちまち売り切れ、最終的には30万部売れたという。彼女たちは地元の病院に最新の白血病治療機器とソファを寄付した。
アニーのところには家族を癌で亡くした人とかから手紙がいっぱい届く。新聞には大々的に記事になり、テレビにも呼ばれて人気者に。
コマーシャル出演の話があってハリウッドへ乗り込むところまでいく。

最後は家にもどってめでたしめでたし。
ヨークシャーの田舎の美しい風景がたっぷり味わえてよかった。

ジョイス・メイナード『とらわれて夏』

少年ヘンリーの語る物語。
いまから20年前、ぼくは母のアデルと二人でニューハンプシャー州のホールトン・ミルズという町で暮らしていた。家を出て行った父は新しい妻マージョリーと彼女の連れ子のリチャードと二人の間にできた赤ん坊と四人で暮らしており、土曜日にはぼくを交えて食事に行く。父もマージョリーも普通にいい人である。義理のきょうだいのリチャードともうまくいっている。

母は違う。美しくてダンスがうまくて体の線が全然崩れていない。だけど他人と交わらずにぼくだけが話し相手である。
その夏、ぼくは13歳で通学用のズボンが必要になったので、母といっしょにショッピングセンターに買い物に行った。母は滅多に外出しないのだが仕方なしに車を出した。衣類の買い物を終えたあと別々な売り場へ別れて、ぼくは雑誌の立ち読みにかかる。ほんとうに読みたい「プレイボーイ」みたいな雑誌はビニールで密封されている。
「コスモポリタン」を熱心に読んでいると大きな男が話しかけてきた。マートの制服を着ているが血が出ていて靴にまで流れている。彼は「あっちにいるのはお母さんだろ」と言い、「きみの家に行ってもいいかな」と続け、「ぜひ連れて行ってくれ」となった。二人はフランクを連れて帰る。
フランクは君たちには嘘をつかないと刑務所の病院から逃げてきたと打ち明ける。二階の病室の窓から飛び降りたのだ。警察はあたり一帯を捜査している。アデルは動揺しないで日常生活を続け、フランクは家の修理をし、祖母がやっていたパイの作り方を教える。ぼくにはキャッチボールの相手をして野球を教えてくれた。
フランクは祖母と田舎で暮らしていたがベトナム戦争に駆り出された。帰国して不幸な結婚をして運悪く3人の殺人罪ということで捕まって刑務所暮らしをした。そして病気で入院したおかげでここで運命の女性と出会った。
アデルとフランクはヘンリーと3人でここからカナダへ逃げる計画を立てる。
思春期のヘンリーのこころが揺れる。女の子と知り合い影響されている。

20年後のヘンリーはニューヨークでデザートシェフとして働いている。お洒落な雑誌に彼の作ったパイが取り上げられた。フランクに習ったパイの作り方をそのまま受け継いだものだ。
【通販カタログに出ている高価な道具なんか買う必要はありません。生地の破れを補修するときは、親指の付け根がうってつけの道具になります。】
フランクは刑務所の図書室で寄付された古雑誌の箱の中からこの記事を見つけた。

ジョイス・メイナードの作品を読むのははじめてだったが、ヘンリーの静かな語りに引き寄せられて一気に読んだ。
ヘンリーの母アデルはかよわそうに見えて凛とした美しさを持った女性。要領が悪くて悪運続きの脱獄犯フランクに会って愛しあう。愛しあった5日間を永遠に忘れない。
少年の成長物語であると同時に、しっかりした芯のある恋愛小説だ。
去年アメリカで映画化された。日本での公開は今年5月。ケイト・ウィンスレットがアデル役。
(山本やよい訳 イースト・プレス 1900円+税)

ジム・ローチ監督『オレンジと太陽』と児童移民のこと(2)

素晴らしい映画だった。見て良かった。
DVDを借りる前には絶対見たいと思っていたのに、いざ手元にくると重そうだなと後回しになる。ジム・ローチ監督はアイルランド映画の名匠ケン・ローチ監督の息子さんである。ケン・ローチ監督の映画もたくさんお借りしているが、まだ少ししか見ていない。どんどん見なきゃ。

イギリスのノッティンガムで暮らすマーガレット・ハンフリーズは夫と二人の子どもがいるソーシャルワーカーである。
ある日、仕事の場で会った女性シャーロットから自分の出自を調べてほしいと執拗に頼まれる。彼女は4歳のときに船でオーストラリアに送り出されたと言い、書類を差し出す。そんなことはあり得ないと思いながら調査を始める。後にシャーロットはマーガレットの調査で、死んだと言われていた母と再会できた。

夫は彼女の後押しをして書類や新聞記事を調べはじめる。マーガレットは休暇をとってこの調査を続けようと届けを出すと、担当者は2年の調査時間と資金が出るように計らってくれた。
彼女の活動のことが知られるようになり、出自を知りたいという依頼が殺到する。一人一人に面接して丁寧に対応していく。それに対して余計なことをするなという声も出てくる。
夫妻はただひたすら依頼者に応えて調査を続ける。マーガレットはオーストラリアに行くことが多くなり、夫がイギリスでの調査を担当する。

孤児院の子どもたちが長期にわたり密かにオーストラリアへ船に乗せられ送り出されていた事実がわかってきた。その数は13万人におよぶ。
〈白豪主義〉のオーストラリアは白人の労働力が欲しくて白人の移民を歓迎していた。児童移民は1970年になって有色人種も受け入れるようになるまで続いた。

マーガレットはオーストラリアで事務所として使うために庭付きの家を手に入れる。そこにはたくさんの人たちが集まってくる。
自分の出自を調べてほしい、母に一目会いたいという人たちに囲まれてのオーストラリア暮らし。
起業家のレンがみずから運転手をやってくれる。彼は修道院へ連れて行かれて性的虐待を受けていた。その修道院へ二人で行くシーンが重い。

マーガレットの調査により明るみに出た事実を認め、2009年にオーストラリア首相が、2010年にイギリスの首相が正式に謝罪し補償金を支払った。

エミリー・ワトソンがよかった。
「奇跡の海」「ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ」からだから長いこと見てなかった。

(マーガレット ハンフリーズ「からのゆりかご―大英帝国の迷い子たち」都留信夫/都留敬子訳 近代文藝社  2625円)

ジム・ローチ監督『オレンジと太陽』と児童移民のこと(1)

女性ライフサイクル研究所のサイトにある村本邦子さんの「今月のトピック」2月の『「からのゆりかご」と児童移民』を読んで、ここで紹介されているジム・ローチ監督「オレンジと太陽」のDVDを思い出した。仕事が立て込んでいるのだがなにはともあれ見なくては。

映画「オレンジと太陽」はイギリスからオーストラリアへの児童移民がテーマである。17世紀以来、13万人を上回る子どもたちが船で運ばれた。
そこで思い出したんだけど、ミステリ作家レジナルド・ヒルの「異人館」(ダルジール警視シリーズではない作品)では、1960年代にイギリスの孤児院からオーストラリアに移住した祖母のルーツを探してイギリスへ来た若い女性サムが主人公である。祖母は11歳で何者かに妊娠させられ男の子を産んで死んだ。その子がサムの父親で、いま住んでいる家の養子となってきちんと暮らしている。サムは数学に秀でていてケンブリッジへ留学が決まり、その前に父親と自分のルーツを探りにイギリスの北西部の村にやってきた。父親の苦悩が映画「オレンジと太陽」の男性たちとだぶる。マーガレット・ハンフリーズさんは1986年に「児童移民トラスト」を立ち上げ、レジナルド・ヒルは本書を2005年に書いている。

真正面からはマーガレット ハンフリーズ「からのゆりかご―大英帝国の迷い子たち」があり、ひとつの例を「異人館」で読める。なんて書いたが「からのゆりかご」はまだ読んでないです。

遅くなったので肝心の映画の紹介は明日に。

ダグラス・マクグラス監督・脚本『Emma エマ』

ジェーン・オースティンの「エマ」を読んだのはずっと昔だが、おせっかいなエマをあほらしく思いながら楽しく読んだ。「高慢と偏見」は10回以上は読んでいるが「エマ」は一度読んだだけで納得していた。
映画の「エマ」(1996)はわたし好みのリージェンシーロマンスで、相方が来週は忙しいから今夜は楽しいのを見て和もうと譲ってくれて(笑)、見ることができた。
大丸で買ってきたケーキとコーヒーを用意してさあはじまり。

エマ(グウィネス・パルトロー )は母の死後、姉が結婚してロンドンに行ったので、父とイギリス南部のハイベリーで暮らしている。その家によく訪れるのが姉の夫の兄のナイトリー(ジェレミー・ノーザム)で、兄さんらしくエマを叱ったり可愛がったり。
エマの家庭教師アナ(グレタ・スカッキ)がウェストン氏と結婚して出て行くが、その結婚をとりもったのがエマだった。アナはエマの唯一の相談相手だったがいまもエマはよく訪ねている。ウェストン氏の前妻の子フランク(ユアン・マクレガー)は美形の青年でアナはエマに紹介したいと思っている。
エマは友人のハリエットと牧師のエルトンを結婚させようと目論むが失敗。次はフランクと思うがフランクは別の女性と結婚する。

グウィネス・パルトローの魅力全開の映画でファンとして見ておくべき映画。
「セブン」が1995年で映画もよかったがグウィネスがよかった。「エマ」はその翌年で初主演なんだって。あの暗い刑事の奥さん役から明るいリージェンシーロマンスの役がきて楽しかっただろうな。細い首筋の美しいこと!
彼女の映画はわりと見ているほうだと思う。「抱擁」がいちばん好きだが、そのうちリストをつくってどれくらい見ているか調べよう。

グレタ・スカッキが元家庭教師の役だった。昔大好きだった女優でいっときはサラ・パレツキーのヴィクシリーズの主役に彼女が合うと書いたこともあった。ざっと出演作を見たが映画名が特定できない。そのうちゆっくり自分が書いたものを探そう。