アレハンドロ・アメナーバル監督ショートフィルム『ルナ 月は見ていた』

昨日見た「オープン・ユア・アイズ」のDVDについていたおまけを続けて見た。主演がさっきまで見ていた「オープン・ユア・アイズ」のエドゥアルド・ノリエガである。モノクロ画面でものすごく美しい。すっごく美しいからドラマの終わりはどうなるのか心配になる。
1995年の作品で監督自身がカフェのウェイターをやっている。

仕事の帰りに車が故障したアルベルトは15分ほどかかってようやくヒッチハイクできた。運転していたのは若い女性(ニエベス・エランス)で最初はとりとめない会話をしつつ進んで行く。女性がスタンド横のカフェでお茶を飲もうと誘う。アルベルトは妻がいるので早く帰りたいが、しかたなくカフェに立ち寄る。カフェのウェーターは女性を見ていやな顔をする。
テーブルでお茶しながら女性はどんどんアルベルトに迫ってくる。返す言葉を切り返し、言葉でアルベルトをしばろうとする。
早く帰りたくて「明日会おう」と逃げると、電話番号を聞かれ嘘の番号を言うとそれも見破られ、トイレに行っている間に妻に電話するとそれも立ち聞きされ・・・ウエィターからはあの女には気をつけろと忠告されるが、どうしたらいいものやら。
むごい最後を月は冷たく照らしていた。
女は怖い。気をつけてね、あなた。

エドガー・ライト監督『HOT FUZZ ホット・ファズ – 俺たちスーパーポリスメン!』

明日は雨のようだから今夜はなにかおもしろい映画を見ようと、ちょっと屁理屈ですが(笑)。

先日ネットで映画感想を読んでいたら、エドガー・ライト監督の「ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!」(2013)を待っているとあった。これはちょっと見たいなとT氏のDVDを探したら、前篇の「HOT FUZZ ホット・ファズ – 俺たちスーパーポリスメン!」(2007)があった。
エドガー・ライト監督の映画を1本も見たことがないのでいい機会だと見ることにした。すっごいおもろい映画で笑ってばかり。

ロンドンの首都警察で働くニコラス・エンジェル(サイモン・ペッグ)は大学を首席で卒業、警察学校でもトップ、検挙率もトップで何度も表彰されたエリート警察官。あまりにも仕事ができすぎて周囲の人間に煙たがられ、田舎町のサンドフォードに左遷される。
サンドフォードに来たエンジェルは超真面目なスタイルを崩さずというかそれが自然体なのである。村人のちょっとした違反を許さず検挙するから、同僚にも上司にもけむたい存在だ。村の支配者たちの集団には警察の上部の人間も入っていて自分たちの利益のためにがっちり固めている。
相棒のダニー(ニック・フロスト)は警察映画マニア。ともに動くと周りは敵だらけで、ダニーはエンジェルに車をやるから帰れと言い、一度はロンドンに帰る。

ロンドンへ帰る途中で考え直してもどってきたエンジェル。サングラスをかけ武装して、なんと白馬にまたがっている。これってクリント・イーストウッドの「ペールライダー」じゃんと思ったら、そのあとはハリー・キャラハン刑事みたいな活劇だったり、西部劇のシーンだったりとすっごく楽しませてくれた。
イギリスの活劇はおもしろくて楽しい。

ガイ・リッチー監督『シャーロック・ホームズ』

気楽に見られる映画を見たいと(最近これが多い-笑)選んだ。ガイ・リッチー監督「シャーロック・ホームズ」(2008年製作)。シャーロック・ホームズがロバート・ダウニーJrでワトソン博士がジュード・ロウ。
映画でもテレビでも見たことのないシャーロック・ホームズ。本のほうも子どものころに読んだきり。10年くらい前にローリー・R・キング「シャーロック・ホームズの愛弟子」シリーズで、ホームズが一目惚れしたメアリ・ラッセルと後に結婚するという驚きの作品に惚れ込んで、翻訳のあるものは全部読んだ。シリーズ4冊目の「バスカヴィルの謎」を読んだとき本家コナン・ドイルの「バスカヴィルの犬」を読んで、おもしろくてうなった。そのときはシャーロック・ホームズを全部読もうと思ったのだが・・・。

映画「シャーロック・ホームズ」は賛否あると思うけど、わたしはおもしろかった。19世紀末のロンドンの街を馬車が駆けて行くのがうれしい。テームズ川がたっぷりと出てきた。室内のインテリアや服装などもよかった。
わたしはホームズが格闘家であることを知らなかったので、はじめのほうの闘うシーンの長さに驚いた。「マッドマックス」を思い出したくらいに。このシーンがあったから後の活劇が納得できた。
魔術を使った犯人=支配者の術を合理的に解き明かすところが、19世紀に生きるホームズなのだ。悪いほうは南北戦争で疲弊しているアメリカを大英帝国に取り込もうとしている。そのためにまず議会を乗っ取ろうとする。ホームズが知恵を絞り出し魔術と闘う。ワトソンが助ける。
ホームズはちょっと異常な感じもあるインテリで格闘家、ワトソンは正統的な美男で、助け合っている以上に愛し合っているような微妙な感じがよかった。

クリストファー・ノーラン監督・脚本・製作『インセプション』

クリストファー・ノーラン監督の2010年のSF映画である。ウィキペディアによるとノーラン監督は10年ほど前から構想を練っていたそうで、ホルヘ・ルイス・ボルヘスの「伝奇集」の短編から着想を得たそうだ。
というようなことを見た後で読んだのだが、予備知識なしで見たものだから、ちんぷんかんぷんなところが多かった。だけど映像と音楽が美しいのでじゅうぶん楽しめた。
主人公がレオナルド・ディカプリオで、わたしはあまり彼の映画を見てないけど、やっぱりオトコマエだ。そして亡き妻役のマリオン・コティヤールの美しさ。見ているうちに「去年マリエンバードで」( アラン・レネ監督)の女性を思い出していた。デルフィーヌ・セイリグと同じように夢のような美しさ。
あとで知ったが、マリオン・コティヤールはフランス人だった。ふと気がついた、リドリー・スコット監督の「プロヴァンスの贈りもの」に出てた人だ。

ディカプリオが人の夢に入り込んでアイディアを盗み取る企業スパイのドム・コブ、依頼主の強大な権力を持つ資本家サイトーが渡辺謙。その他、コブの長年の相棒、夢の世界を構築する設計士、偽装師、調合師がサイトーのライバル会社の解体を目指して動きだす。
劇中にエディット・ピアフの「水に流して」が使用されているというのに気がつかなかった。いちばん最後に流れたときに、あれっ知ってるシャンソンが流れてる〜と気がついて、いまYouTubeを検索して聞いた。

J・J・エイブラムス監督『スター・トレック』 (2009年の映画)

1980年ごろのこと、若い友人たちが「スター・トレック」の映画がくると騒いでいたのをまだ覚えている。わたしはそのとき「スター・トレック」を知らなかったし、まだパソコンのない時代だから検索もできず(笑)もやもやしていた。そのころもテレビを持ってなかったからもちろんテレビドラマを知らなかった。そんなもんで映画も見に行かなかったが、みんなおもしろかったそうで、いろいろ話は聞いた。

その後テレビを買って夜の11時頃からの再放送を見ることになる。映画は2作目から映画館で見るようになった。
テレビの放映はのちのちサンテレビがするようになって、けっこう長い期間「スター・トレック」のファンであった。同じものを何度も見た記憶がある。何度見てもおもしろい(笑)。
ドラマの中では操縦室が好きだったが。いちばん好きなのは「転送」シーンだ(笑)。

今回の「スター・トレック」では、スポックのお父さんをテレビでスポックをやっていたレナード・ニモイがやっていて懐かしかった。年を取りはったけどしゃんとしてはる。次の作品「スター・トレック イントゥ・ダークネス」にも出ているので楽しみ。お母さんの役はなんとも懐かしいウィノナ・ライダーがやっている。
そう、この作品はカーク船長とスポック博士の成長物語なのである。ふたりの間の確執も描かれている。艱難辛苦を越えて理解し合い共に宇宙平和のために戦うという物語の第一歩。次作「スター・トレック イントゥ・ダークネス」が楽しみ。

クリント・イーストウッド監督『ミスティック・リバー』(1)

クリント・イーストウッド監督の2003年の映画。当時とても評判が良かったがわたしは見ていない。デニス・ルヘインの原作も読まず、どんな映画かなとは思っていた。
特典映像まで見せてもらった。特典のほうにはイーストウッドのけっこう長いテレビインタビューも入っていてファンとしてうれしいかぎり(10年も前のものになにいうてんねん-笑)。映画を見始めたのは10時前でオマケまで見ていたら1時半になろうとしている。

なんかもうすごく深みのある映画だった。俳優たちがそれぞれぴったり役にはまっていて息もつかさぬとはこのことだ。
ボストンの一郭で暮らしている3少年ジミー、デイヴ、ショーンは道で遊んでいてホッケーのボールを下水に落としてしまう。手持ち無沙汰で道路工事がすんだ生乾きのセメント面にそれぞれの名前を印す。そこへ警察のふりをして現れた男がデイヴを車に乗せて連れ去る。デイヴは小児性愛者に暴行されて4日間を過ごして逃げ帰った。
それから離ればなれになって25年間、ジミー(ショーン・ペン)は2年間の刑務所暮らしからもどってからは最初の結婚で娘が1人といまの妻との間にも1人いて、裏社会とのつながりは持っているものの地味に雑貨店を営んでいる。
デイヴ(ティム・ロビンス)も妻と息子と地味に暮らしている。しかし連れ去られた4日間に受けた心の傷は消せない。
ショーン(ケヴィン・ベーコン)は刑事になったが、妻が家を出て行ってたまに電話があるのを心待ちにしている。部下の女性警官の誘いも受け流してひたすら待っている。

クリント・イーストウッド監督『ミスティック・リバー』(2)

ある日、ジミーの娘ケイティーが殺された。刑事のショーンが相棒と担当することになった。ジミーはショーンにいつ犯人を捕まえるのかと問いただすが、返事が得られないと手下を使って自分勝手な捜査をはじめる。

デイヴはジミーの娘の事件があった夜遅く血だらけになって帰ってきた。ケイティーはその夜はバーで友だちと踊ってはしゃいでいた。それを同じバーにいたデイヴは見ていた。
妻には強盗に襲われてやり返したので、相手は死んだかもしれないと言った。妻は翌日から新聞を調べているがそういう記事は載っていなかった。

同じ町で育って大人になった3人組の少年たち、その同じ町で自分の子どもを育てているジミーとデイヴ。ジミーの娘が殺され、デイヴが容疑者として取り調べられる。調べる警官は3人組のひとりショーンである。
ショーンは真犯人を追いつめるが、事情を知らないままに手下を使って自己流で追っていたジミーはデイヴを追いつめる。

町でパレードがあり、ショーンは妻と子とともに見物している。ジミーが目に入り、ショーンは指でピストルを撃つ仕草をする。ケイティーの事件は彼が解決した。
デイヴは行方不明のままだろう。川に流されて。

クリント・イーストウッド製作 監督 主演『ブラッド・ワーク』再び

全然関係のない話からはじまって、最後にクリント・イーストウッドの「ブラッド・ワーク」を見ることにしようと決めたのはおとといのこと。そう決めたらほんまに見たくなって、今夜は映画優先にした。
8年前に見たのだが半分くらいしか内容を覚えていなかった。結末がどうなるかとドキドキしてよかったけど、記憶力が落ちているのにはちょっとがっかりだ。映画と本は犯人が違うと誰かが書いていたから、やっぱり本を探し出して読まなくては。

ハリー・キャラハンほかイーストウッド演じる刑事たちは、最後には正義が勝つという気持ちで落ち着いて見ていられる。だが「ブラッド・ワーク」の心臓移植したばかりの元FBI心理分析官マッケイレブが拳銃を出したり追いかけたりすると、胸を掻きむしって倒れるんじゃないかと心配でしかたがない(笑)。
まあ、そういうことも勘定に入れての老優ぶりを見せるのである。

ニール・ブロムカンプ監督『エリジウム』

ニール・ブロムカンプ監督の「第9地区」を見たのは去年の6月のことで、えらく興奮した日記を書いている。あれからまだ1年経ってない。「第9地区」の制作は2009年(日本公開は2010年)だから、わたしらが長いこと存在を知らなかっただけだけど。

今回の「エリジウム」はT氏にお借りしたDVDの中に入っていて、見る前に雑誌「ワイアード」(13年9月号)で監督のニール・ブロムカンプと主演のマッド・デイモンへのインタビューを読んで勉強したらますます期待感が高まった。「エリジウム」は2013年製作、アメリカのSF映画。

2154年、地球は汚染され、人々はスラム化した社会で暮らしている。過酷な労働と厳しい監視社会、そして労働の結果は一握りのエリジウムに住むやつらに奪われている。
一握りの恵まれた人たちが衛星軌道上に建造されたスタンフォード・トーラス型スペースコロニー「エリジウム」で暮らしている。病気を治す技術も発達している。
カメラが映し出していくエリジウムは緑と水、そして様々な様式の建物が点在する美しい都市だ。
まだ幼いマックスとフレイが仲良くしているシーンがあって、そのあとマックス(マッド・デイモン)が大人になって出てくる。

マックスはエリジウムの人間が経営している工場で働いているが、仕事中に致死量の放射線を浴びてあと5日の命となる。マックスの側に来ただけで被曝するという状況で、先端医療を受けるべくエリジウムへ行くことを決意し、闇商売人スパイダーと取引する。依頼されたのは資本家のカーライルから脳内データを奪うことで、それには肉体の外側に骨格をつける大手術をしなければならない。
激戦の末にカーライルの頭からエリジウム再起動プログラムを自分の脳内にコピーしたマックスは地上からも空からも狙われる。負傷したマックスを助けたのは白血病の娘を持つフレイで、なんとかエリジウムで娘に治療を受けさせたいと願っている。
マックスは地球人がだれでもエリジウムに行けるように再設定したデータのボタンを押す。それは自分の命と引き換えだった。
「第9地区」とテーマは同じだがより洗練されてエリジウムの外観も室内も近未来の美である。そして対比される地球の貧しさもまた近未来の風景だろう。
防衛庁長官役のジョディ・フォスターは役にはまっていたが、もうちょっと動きがほしかった。この監督は女優が苦手なのかも。
「第9地区」の主演シャールト・コプリーが今回は傭兵の悪役で出ていた。日本刀を持ってしつこく大活劇。

『ゼロ・グラビティ』と『エリジウム』

昨日とおとといは晩ご飯の片付けもそこそこに、自宅劇場で映画を見た。仕事部屋で仕事用のパソコンでだけど。電気を消してどっかり座っておとといはコーヒー、昨日はアイリッシュウィスキーを飲みながら、気分を出して、よし見よう(笑)。
今日はダンナは知り合いのDJを聞きに行き、わたしはお茶しながらマンガ(長尾謙一郎の「クリームソーダ シティ」)と福島のことが書いてあるというので買ってきた「女性自身」を読んでいる。キンドルの漱石も読みかけである。これをアップしたらまた続きにもどる予定。ちょっと冷えてきたからお風呂にも入ろう。

見ている間は面白かったが、いま思うと「ゼロ・グラビティ」は宇宙ゴミについての啓蒙映画だった。DVDについている本編についたおまけ映像では宇宙ゴミについて教えてくれてどうにかせなあかんと考えさせられた。わたしが考えてもしゃあないが。非常に真面目な映画であった。

「ゼロ・グラビティ」に比べると「エリジウム」はお洒落な映画だった。お金がかかっていない前作「第9地区」のテーマをハリウッドの資本で撮った映画である。出演者はマッド・デイモンとジョディ・フォスター。大スターを使いこなしているのがみごと。
宇宙コロニーのコンセプトデザインにはシド・ミード(「ブレードランナー」をやった人)が参加。その他、マッド・デイモンの機械装置のパワースーツとか、いろいろと装置がすごくて、わたしはそういうのが好きなもんですごく楽しめた。