山田真『子どもに薬を飲ませる前に読む本』

本書を著者からいただいた。話が具体的で読みやすい。うちには子どもがいないけど、子どものいる人にぜひ薦めようと思う。そして子どもの薬の話だけど大人が自身のために読んでも役に立つので大人にも薦めよう。薬についての基礎知識が得られるし、症状にたいしてどうしたらいいかもわかる。

「ペニシリン系の薬の話」という項目のところに、
【最近は「近代医療ぎらい」の人も増えて、そういう人の多くは特に抗生物質と副腎皮質ホルモンを嫌います。近代医療がいろいろな問題点を持っていることは確かですし、薬の乱用も目に余るものはあります。しかし、たとえば抗生物質のない時代には(以下略)】
ここで笑ってしまったが、わたしも「近代医療ぎらい」に入るなぁ。

わたしはいま薬をほとんど飲まないが、20代のころは薬を飲むのが好きだった。ひどい偏頭痛もちだったし生理痛から頭痛になるし、薬箱にはセデスを欠かせなかった。いつのころからか偏頭痛が起きたらじっと寝ていれば治るとわかって薬を飲むのをやめ、更年期後は偏頭痛とも縁が切れた。それ以来頭痛というのを知らない。
眠れないといって睡眠薬を飲んでいる人が多いけど、わたしは眠くなるまで本を読んでいて目が引っ付いてきたらバタンキューでよっぽどのことがないと朝まで目が覚めない。
熱が出るということもない。でもものすごく健康かといえばそんなことはない。目は悪くなる一方だし、膝が悪いから長時間立っていられないし老化は進んでいる。どうせなら上手に老化したいと思う今日このごろ。

本の紹介を書くのに、自分のことばかり書いてしまった。引用したりこういう内容だと書くには、薬の話だから間違ったらいけないと思うので。
とてもおしゃれな表紙で本文も読みやすく、電車の中やカフェで開くのが楽しかった。
(講談社 健康ライブラリースペシャル 1300円+税)

毛利嘉孝『ストリートの思想ー転換期としての1990年代』を読み始めた

今月7日のdommuneにEP-4の佐藤薫さんが出られたとき、話し相手で出演されていたのが本書の著者 毛利嘉孝さん(社会学者で芸大准教授)だった。もう一人の話し相手 地引雄一さんはミクシィでEP-4を検索して、わたしのページに足あとを残してくれたので、彼の日記にコメントしたら返信を書いてくださった。音楽業界で活躍されている人のようだ。

そのdommuneのときに本書が紹介された。佐藤さんも読んだとおっしゃる。そしてEP-4のことも書いてあるとのことで興味を持ち図書館にあったので借りてきた。まだ全部読んでいないのだが、読んだところはとてもおもしろい。わたしが個人的な好みで遊んでいたことが、体系化されているというか、全体を見渡す観点で書かれている。
わたしの1980年代は70年代のジャズの友人たちから離れて新しい音楽にはまっていく時代だった。80年代に入るすこし前からパンク・ニューウェーブを聞き出して新しい友人ができ賑やかに遊んだ。離れていたミステリの新しい風に出会ったときでもあった。それが90年代になるとヴィク・ファン・クラブという存在と翻訳ミステリに耽溺ということはあったが、音楽から離れていた。このあたりの音楽状況をがぜん知りたくなってきた。自分史と客観的な時代的考察とを重ね合わせる体験ができそうだ。

ナイジェル・ニコルスン「ヴィタ・サックヴィル=ウェストの告白 ある結婚の肖像」

先月Sさんに送る荷物の中にこの本を入れたのがもうもどってきた。すぐに読み出してすぐに読み終わったのね。読む人が読めばすごくおもしろい本なのだ。
イングランド屈指の名門に生まれたヴィタ・サックヴィル=ウェストは外交官のハロルド・ニコルソンと21歳で結婚、そのかたわらに50冊以上の小説・詩・伝記などを書いた。ずっと日本には翻訳がなく知られていなかったが、映画化されたヴァージニア・ウルフの「オーランドー」のモデルとして知られるようになった。

本書が出たのは1992年(原作は1973年)で18年も経っている。わたしは早くから国書出版会から出た「オーランドー」を読んでいたので広告を見てすぐに買った。読んでびっくりというか喜んだというか、いまも大切にしている本の一冊である。

名門中の名門である夫婦の私生活を息子が包み隠さず書いているところがすごい。夫妻には子どもが二人いたが、夫婦ともに同性愛者だった。そして二人は愛し合っていた。だがお互いに同性の恋人をつくる。

暑くていけません。いつか涼しい日にこの続きを書くことにする。
(栗原知代・八木谷涼子訳 平凡社 3200円)

バイロン卿の娘エイダ

図書館でマーク・フローエンフェルダーの著作「THE COMPUTER」という大型本を借りてきた。コンピュータの歴史や人物に関する本だけど、最初は計算ということからはじまっている。世界最古の集計システムはチェコで発見された骨で、人為的に刻まれた数に関する痕跡の一番古いものだとか。
それからいろいろな人の肖像画と実績が記されているが、知っている名前はパスカルくらいだ。
めくっていくと美しい女性の肖像画に出くわす。詩人バイロンの娘、エイダ・バイロン・ラブレイス(1815〜1852)である。バイロンは有名な与謝野鉄幹の歌「ああ、われ、ダンテの奇才なく、バイロン、ハイネの熱なくも・・・」のバイロンである。その娘さんがなんでコンピュータの本にあるのか。

エイダは一歳のとき母に連れられて家を出た。エイダがバイロン卿に影響を受けて詩人になるのを恐れたためだ。母は自分の妹に頼んでエイダに数学と科学を教え込ませる。成長したエイダはイタリアの数学者の論文を英訳し、それに彼女自身が長い注釈を書いて発表した。この注釈のために彼女は「世界最初のプログラマ」という栄誉を受けているそうな。彼女はバベッジ(数学者で発明家)の装置が完成した暁には、コンピュータが家電品と同様に一般家庭の必須品となることが当然であると予見していた。プログラム用語の一つ、Ade(エイダ)は彼女にちなんだものなんだって。ひぇーっ。(ハント・ヴェルク訳 トランスワールドジャパン 6500円+税)