ナイジェル・ニコルスン「ヴィタ・サックヴィル=ウェストの告白 ある結婚の肖像」

先月Sさんに送る荷物の中にこの本を入れたのがもうもどってきた。すぐに読み出してすぐに読み終わったのね。読む人が読めばすごくおもしろい本なのだ。
イングランド屈指の名門に生まれたヴィタ・サックヴィル=ウェストは外交官のハロルド・ニコルソンと21歳で結婚、そのかたわらに50冊以上の小説・詩・伝記などを書いた。ずっと日本には翻訳がなく知られていなかったが、映画化されたヴァージニア・ウルフの「オーランドー」のモデルとして知られるようになった。

本書が出たのは1992年(原作は1973年)で18年も経っている。わたしは早くから国書出版会から出た「オーランドー」を読んでいたので広告を見てすぐに買った。読んでびっくりというか喜んだというか、いまも大切にしている本の一冊である。

名門中の名門である夫婦の私生活を息子が包み隠さず書いているところがすごい。夫妻には子どもが二人いたが、夫婦ともに同性愛者だった。そして二人は愛し合っていた。だがお互いに同性の恋人をつくる。

暑くていけません。いつか涼しい日にこの続きを書くことにする。
(栗原知代・八木谷涼子訳 平凡社 3200円)

バイロン卿の娘エイダ

図書館でマーク・フローエンフェルダーの著作「THE COMPUTER」という大型本を借りてきた。コンピュータの歴史や人物に関する本だけど、最初は計算ということからはじまっている。世界最古の集計システムはチェコで発見された骨で、人為的に刻まれた数に関する痕跡の一番古いものだとか。
それからいろいろな人の肖像画と実績が記されているが、知っている名前はパスカルくらいだ。
めくっていくと美しい女性の肖像画に出くわす。詩人バイロンの娘、エイダ・バイロン・ラブレイス(1815〜1852)である。バイロンは有名な与謝野鉄幹の歌「ああ、われ、ダンテの奇才なく、バイロン、ハイネの熱なくも・・・」のバイロンである。その娘さんがなんでコンピュータの本にあるのか。

エイダは一歳のとき母に連れられて家を出た。エイダがバイロン卿に影響を受けて詩人になるのを恐れたためだ。母は自分の妹に頼んでエイダに数学と科学を教え込ませる。成長したエイダはイタリアの数学者の論文を英訳し、それに彼女自身が長い注釈を書いて発表した。この注釈のために彼女は「世界最初のプログラマ」という栄誉を受けているそうな。彼女はバベッジ(数学者で発明家)の装置が完成した暁には、コンピュータが家電品と同様に一般家庭の必須品となることが当然であると予見していた。プログラム用語の一つ、Ade(エイダ)は彼女にちなんだものなんだって。ひぇーっ。(ハント・ヴェルク訳 トランスワールドジャパン 6500円+税)