ホビット族の忘年会

会報が片付いたのでゆっくり外食することにして、まずはシャーロック・ホームズへ行った。12月はヴィク・ファン・クラブの例会はなしなので、早い目の年末の挨拶。相方はうまいギネスが飲めて満足。お腹いっぱい食べて、機嫌良くしゃべって女主人ともおしゃべりして、来年もよろしくを言った。

20年近くになるつきあいの店を出て、次ははじめてのお店。ツイッターで知り合ったFさんに教えてもらった文学バー「リズール」は四ツ橋と心斎橋の間にある。うちからは歩いていける距離だ。地下へ降りると広い空間で壁ぎわには本棚があって、長いカウンターがあり、ソファがある一画も広い。女性がカウンターにおり注文したら店主らしきひとが出てきた。ツイッターでフォローしていただいた礼を言い、Fさんの紹介だと言ったら話が通じた。それにしても先日のツイッターからはじまってこうしてリアルに言葉を交わしているからすごい。男性が向こうの客のほうへ行ったとき、女性に尋ねたら彼は作家の玄月さんだった。
へええ、いままでこんなバーがあることすら知らなかった。知らない者の強さで作家さんとおしゃべりしてた。

次はそこから歩いて5分くらいのコンピュファンクのバーへ。レミちゃんと来合わせたNさんと3時間近くなんやかんやとおしゃべり。文学バーでちょい緊張したあとなので口がよく動いた(笑)。よく笑うこと、笑うこと。

リドリー・スコット監督『マッチスティック・メン』

リドリー・スコットの作品を見たいということで相方が借りてきたDVD「マッチスティック・メン」(2003)を見た。わたしはニコラス・ケージが出ているというだけで見たい。長いこと見ていないが実はニコラス・ケージ大好き。「初体験/リッジモント・ハイ」「コットンクラブ 」は見たというだけでどんな役かも知らない。ええなあと思ったのが「月の輝く夜に」で、この作品でケージファンになった。「赤ちゃん泥棒」についで「バンパイア・キス」ではゴキブリを食べるところがあったっけ。あとはテレビで見たので作品名も覚えていないのだが、すいたらしい男の代表みたいなところが好き。

詐欺アーティスト(と自分で称している)のロイ(ニコラス・ケージ)は頭を使ってしっかりと稼ぎ、貸金庫には現金がたくさんしまわれている。しゃれた家に住んでいるが、めちゃくちゃな潔癖性で靴を脱いで床を掃除しまくる。クスリが手放せないで流しにこぼしてしまって半狂乱となる。
格下の相棒フランクは精神分析医クレインを紹介する。クレインは話を聞くうちに14年前に妻が妊娠中に家を出たままなのを聞き、娘に会うことをすすめる。娘とつきあううちにロイの心はほぐれていく。つきまとう娘は詐欺の手伝いもするようになる。
そこへフランクが大きな仕事を持ち込み、ロイは娘も一役買うように仕掛けるのだが・・・詐欺のどんでん返しには「スティング」を思い出してしまった。
愛ある最後がよかった。ニコラス・ケージすてき。

「ミステリーズ!」10月号に木村二郎さんの『残酷なチョコレート』

創元推理文庫から発売された2冊「ヴェニスを見て死ね」と「予期せぬ来訪者」について、きのうとおととい感想を書いた。続いて今日は雑誌掲載の新作である。

ニューヨークは昨晩の雪が5インチも積もっている。オフィスで椅子に座っているヴェニスの前に現れたのは35年前にオクラハマ・シティーでつきあっていたメリンダだった。すぐ彼女とわかったことについて「きみは35年前とちっとも変わっていないからだよ」と答えるが、彼女の顔が母親と似てたから(笑)。
ということは今回のヴェニスは55歳を越えている。ずっとニューヨークで仕事してたんだなぁ。「タイガー・タトゥーの女」のときは1995年だから46歳だったのか。それからでも10年経つ。今回、アパートでヴェニスを出迎えたグウェンの言葉やしぐさが長い年月を共にしてきた夫婦って感じがした。ふたりはなぜか結婚はしないで同居している。

メリンダは次女のメレディスが置き手紙をして出て行ったので調べてほしいと頼む。ちなみにふたりの娘はヴェニスの子どもではないという。
長女のメラニーはニューヨークで働いているので連絡して会うと、昔ヴェニスと親しかったグレンと出会ったというので、グレンの家に行くことにする。グレンは酒で仕事をしくじり、いまは夜警をして汚いアパートに住んでいる。そこの階段を6階まで登るのにヴェニスは息切れする。鍵のかかっていないドアを開けるとグレンが銃で撃たれて死んでいた。
ヴェニスの電話でやってきた、マンハッタン・サウス署殺人課のマーク・マクレイン警部補が「おまえが第一発見者か?」と訊ねる。
(「ミステリーズ!」2011年10月号 東京創元社 1200円+税)

木村二郎『予期せぬ来訪者』

「ヴェニスを見て死ね」に入っている作品
[プロローグ、ヴェニスを見て死ね、長い失踪、過去を捨てた女、秋の絞殺魔、バンバン]
「予期せぬ来訪者」に入っている作品
[秘密の崇拝者、ダイナマイト・ガイ、東は東、予期せぬ来訪者、孤独な逃亡者]

ジョー・ヴェニスは1949年に大阪府堺市にあった米軍基地で生まれた。父親がアメリカ人で母親は日本人である。日本語はほんの少ししか話せないが、聞き取ることはできる。白い肌と頑丈な体格は父から、黒髪と茶色い目は母から受け継いだ。オクラハマ・シティーで育ち、オクラハマ大学を出て、20年以上前にニューヨークに出てきて10年ほど探査事務所で働いてから独立した。拳銃を所持し失踪人探しなどの仕事をしている。一人だけの事務所で電話応答サービスとポケベルでなんとかやっている。依頼人が来ると事情を聞きたんたんと仕事にとりかかる。
独身だが事件で知り合った恋人イラストレーターのグウェンとけっこう長いつきあいだ。グウェンはいっときヴェニスとアンジェラ・バランボ警部補との間を邪推したりしたが、考える時間がほしいとボストンの母親のところへ帰ってしまう。ヴェニスはもどってきた彼女をクールにむかえる。
いつもミルク・ティーとアップル・ターンオーヴァーをコーヒーショップで買って事務所に持って行く。なんか健康に良さげなものを食べているなと気になった。検索したら「アップルパイみたいだけど、パイじゃないよ。パイよりもずーと軽くて、ローカロリー」とあった。食べてみたい。

読んでいて皆川博子の「開かせていただき光栄です」を思い出した。両方ともほとんど翻訳ものといっても通用する。昔のロンドンといまのニューヨーク、どちらも地域の説明がていねいである。皆川さんはディケンズ、木村さんはロバート・B・パーカーを思い起こさせる。
こんなところがあった。「いや、スペンサーより料理は下手だし、イギリスの詩なんか暗唱できない。それに、ジョーというファースト・ネームがある」にやっとした。
(創元推理文庫 680円+税)

木村二郎『ヴェニスを見て死ね』

1994年に早川書房から単行本で出たのを持っているのだが、押し入れの箱の中にしまい込んだままで長いこと読んでいなかった。去年、17年ぶりに雑誌「ミステリーズ!」2010年12月号に新作「永遠の恋人」が、次いで今年の4月号に「タイガー・タトゥーの女」が掲載されたのをすごく懐かしく読んだ。そのときに「ヴェニスを見て死ね」が創元推理文庫から出るということを知って、押し入れを探さずに待っていた。

待ってはいたものの、いま読んだらどうかなと思う気持ちもあったが、読み出したらすこしも古びていない。10数年〜20年前のことを書いた新しい小説という感じで読めた。
ニューヨークで暮らす私立探偵のストイックな生活ぶりがいい。恋人のグウェンと食事したあと行くジャズクラブの出演者名をさりげなく書いてあったり、家に帰ってかけるジャズの好みもわたしと合うのでうれしくなった。
グウェンとはじめて会ったのは「過去を捨てた女」で、彼女のむかえの部屋の捜査中だった。彼女はミステリファンらしく、ジョー・ヴェニスのことをハメットの作中人物名で呼んだり、「ねえ、マーロウ」と呼んだり、スペンサーと言ったりする。彼女のほうがさきに惚れてヴェニスは受け身ぽかったけど、それからは恋人どうしになった。

ジャズといい、ミステリといい、食事といい、とても柔らかいのだが、事件の真相は違う。依頼人から受けた仕事を的確に精密にこなしていく私立探偵は、不在の部屋を合鍵で開けて、死体を発見する。
(創元推理文庫 680円+税)

原節子が最後に出演した映画 稲垣浩監督『忠臣蔵 花の巻・雪の巻』

何度も書いているが「忠臣蔵」が好きといって笑われたり呆れられたりする。新暦だけど12月14日になると、あっ討ち入りの日やと思う。今夜はよく冷えて都市部でも雪が積もると予想されているので、「忠臣蔵」を見るのにぴったりだ。
相方が出かけたついでにレンタルビデオを借りてきてくれた。うちに大事にしまってあるのは溝口健二監督の「元禄忠臣蔵」で大石内蔵助を河原崎長十郎がやっている。ちょっと荘重すぎるので、今夜はこっち。
「忠臣蔵 花の巻・雪の巻」(1962 東宝 稲垣浩監督)大石内蔵助が八代目松本幸四郎、吉良上野介が八代目市川中車、大石りくが原節子、俵星玄蕃が三船敏郎、吉良邸の隣人に池部良、浅野内匠頭が加山雄三という東宝俳優の豪華キャスト。

物語はわかっているから、エピソードのどれを使っているかなと楽しむ。もともとは講談本を愛読したのからはじまっているから、「徳利の別れ」「するが堪忍」「あしたまたるるその宝船」が好きなのになくて残念。好きな人は不破数右衛門、堀部安兵衛・・・

そんなことより、原節子の最後の出演映画というのにびっくり。ツイッターでも話題になっていたが、姉が「安城家の舞踏会」をテレビで見たといい、原節子はきれいやったねと話していたところ。大石内蔵助の妻りくの上品な美しさにうたれた。その他、なつかしい女優がたくさん出ていて顔や声で思い出すのを楽しんだ。新珠三千代(浮雲太夫)がわからなかったがあとで調べてなるほどだった。

日本で最初の女子デモは大阪 井上理津子『さいごの色街 飛田』から

デモの帰りに寄ったジュンク堂難波店で気になっていた、井上理津子「さいごの色街 飛田」が見つかったので買った。帰りの電車で読み出したのだが、すごくとっつきやすい。帰ってから着替えもそこそこに読んでいて、ご飯が終わったらすぐに読んでいた。井上さんは大阪在住の女性ライターである。

全部読み終わったらきちんと感想を書くことにして、今日は〈日本で最初の女子デモは大阪〉という記載があったことについて。
「原発いらん!女子デモ!? だれデモ!@大阪」の帰りに買った本で、日本で最初の女子デモが大阪であったことを知るとは!

大阪には江戸時代から続く南地五花街があった。その後にも新設されたところもあり、芸者が中心の「甲部」と娼妓が中心の「乙部」に分けられていた。飛田新地は「乙部」として、近代大阪における、松島遊郭に次ぐ二つ目の遊郭新設になった。
飛田遊郭設置反対同盟会が綴った反対意見の冊子にはレベルの高い女性の人権に立脚した反対意見が見られるそうだ。
1916年10月21日には、矯風会(日本キリスト教婦人矯風会)によって日本最初の女性だけのデモが行われた。
【矢島楫子、林歌子を先頭に、二列縦隊で、百数十人の和服姿の女性が静かに祈りながら、川向こうの江之子島(現西区)の大阪府庁まで歩いたのだ。反対署名と「請願書」を大久保知事に届けようとしたのだが、大阪府庁は大騒ぎとなり、知事は居留守を使った。】
(井上理津子著 筑摩書房 2000円+税)

もっとサボっておおらかに

サブタイトル:ああ、楽しや、ツイッター。
ツイッターを読みながらそろそろお風呂に入ろうと思っていたところで、Oちゃんのツイートを読んだ。「黒い咳が止まらん」とある。それでRTを入れた。「活動しすぎのせいね。わたしもこれからお風呂に入ろうと思ってたとこ。体を休めましょ。体も気持ちもあせったらあかん。 」お風呂から出たら返信が入っていた。「遊びを真剣にやり過ぎるせいですね。(笑)」それへの返信は「言いたかったのはそれ笑 」、続けて「 Oちゃんのツイートのおかげでいま風呂で考えがまとまったよ。もっとええかげんになろう、もっとさぼろう って。昔の写真見たらみんな大口開けて笑ってる。最近は愛想もクソもないむっつり顔が多い。もっとサボっておおらかになろう笑」。

いま会報作り中だが、いつまでに送ろうとせくことはなにもないのに自分で決めて自分を縛っている。だから20年続けられたんだけど、これからはええかげんにしよう。といいつつできたところから丑三つ時にコピーをとっているのだが(笑)。もうやめてミクシィにいって、少々読書して寝よう。

原発いらん!女子デモ!? だれデモ!@大阪 に参加

脱原発デモの参加は8回目。今回は〈女子〉がひっぱるデモである。自分たちのデモをやりたいという気持ちからはじまり、実際にやってのけたことがすごい。
ということを知って早くから騒いでいたのに、不細工なことに朝のスタートが悪くて、気がついたら1時を15分も過ぎていた。12時頃集合で出発は13時45分なので間に合わない。今日はいままでのデモと違うデモ前の風景をレポしたかったのに。

【子どもブロックあり、カフェーあり、デモ当日もいろいろ企画予定。子ども連れの方も参加しやすいよう、集合解散地点は同じ場所、荷物置き場を設置します(デモ中、荷物預かります!)】
こんなことが出発前にあった。お誘いのサイトからの引用ですみません。
過ぎたことは仕方ないと気を取り直し途中から参加することにした。出かけるまでにツイッターをチェックしたらユースト中継の最中で、CHILOさんが軽トラックの上でDJしている場面が出てきた。うんうんいい感じ。クルマのうしろに知り合いがちょこちょこ見える。

まあ、わたしの場合は膝が悪いからいつも途中で離脱してしまうので、今回は途中から最後まで行くからいいかと思い直して出発。御堂筋に出てデモ隊に合流した。DJはsakiさんに替わっていて大阪土着的なところもあるプレイ。歩き出してすぐにさっきDJしていたCHILOちゃんと、これからのえりちゃん(pannalilaさん)と出会ってしゃべりながら歩く(後ろ姿がユーストに写っていたそうだ)。ツイッターで知り合ったFくんがいたと思ったら、kumikoさんと声をかけてくれたのはヴィク・ファン・クラブ会員のNさんだった。いっしょに最後まで歩いた。
年末の御堂筋は賑わっていて、歩いている人たちは無関心か変わった人たちがいるもんだというまなざし。華やかな彼女らも子どもを連れたお母さんたちが叫ぶ姿に、ふと考えさせらるものがあったかもしれないと思うことにしよう。
DJがpannalilaさんに替わって軽い曲調になった。三人ともそれぞれの個性が出たいいプレイだった。
最後のほうで外国人がマイクを持って「オオサカ、メヲサマセ!」と何度でも叫んでいた。その他、歩道から手を振っていたアフリカ系のひと、チラシをもらって握手していたのもアフリカ系のひとだったな。

そして出発点の元町中公園にもどってきた。公園の一角で熱い汁ができていて配っている。いろんな人が今日の感想を述べ合って、カンパ袋がまわり、チラシを配るひとや署名を集めるひとがいる。仲間どうしや初対面や、いろんな組み合わせで会話がはずむ。このひとときもデモの重要な要素ね。

帰りにジュンク堂難波店へ寄った。デモに参加するまでは行動エリアに入ってなかったが広くていっぱい本があって、ええ感じ。気になっていた新刊「さいごの色街 飛田」(井上理津子著 筑摩書房 2000円+税)を買った。
帰ったら晩ご飯ができていて、先日いただいたワインとカルパッチョとスパゲッティだった。

デビッド・フィンチャー監督『ソーシャル・ネットワーク』

今年のはじめに劇場公開されたときから見たかったのだがおっくうで(こればっかり笑)、DVD待ちしつつ雑誌「ユリイカ」の「ソーシャル・ネットワーク特集」を読んでいたところへ東日本大震災と原発事故があった。それですっかり忘れていたのをいまようやく思い出した。
この映画は「フェイスブック」創設者のマーク・ザッカーバーグの半生を描いている。わたしのまわりは「フェイスブック」ばやりで、まだやっていないわたしは遅れをとっている感じがいや(笑)。
いまわたしのやっているSNSはミクシィとツイッターだけである。このブログを書くのとで毎日手一杯の上に、手間のかかる紙の会報「ヴィク・ファン・クラブ ニュース」をやっている。来年にはなにかを整理してから「フェイスブック」にいこうと思っている。
そんなものでこの映画をものすごく興味深く見た。雰囲気あるなぁと見ていたら、監督が「セブン」「エイリアン3」のデビッド・フィンチャーだった。「セブン」よかったなぁ。あの暗さ。

ハーバード大学で学ぶマークは、エリカとデートしたのに女子には耐えられない論理的(?)な会話をして席を立たれてしまう。部屋にもどってパソコンに向かった彼はブログにエリカの悪口を書き、次にハーバード中の寮の名簿をハッキングして、女子学生たちの写真を並べたサイトをつくる。それが、たった2時間で22,000アクセス。友人のエドゥアルド・サベリンがサーバー代を出して「フェイスブック」が立ち上がる。彼はのちに共同創業者&CFOとなり、最終的には告訴する立場になった。
もうひとつ資産家の息子で次期オリンピックにボートで出場する立場の双子のウィンクルボス兄弟は、大学での出会いの場としてのインターネットをつくろうとマークに接近する。マークは彼らを無視して独走してしまい、結局は裁判に持ち込む。
二つの裁判のやりとりから、過去のシーンになり、「フェイスブック」がどんどん大きくなっていくにつれての人間関係の悪化や新しい出会いが描かれる。
「ナップスター」創設者のショーン・パーカーと出会うところがおもしろい。若くして偉くなるとああなるのだなと納得。
裁判は大人が仕切ってお金で解決する。
ひとりのおたく青年が世界を動かしている物語だからおもしろい。来年はその「フェイスブック」の隅っこにお邪魔させていただこうと思っている。なんて調子がいいことを書いているが、なんていうか、もうわたしなどにはわからない世界があることを実感させられてへこむ。