レジナルド・ヒル『午前零時のフーガ』がおもしろくて

いまざっと読み終わったところなので全体の感想はまだ。おもしろくて付箋を貼ったところを書いて楽しむことにする。

ダルジール警視が日曜日に警察署に行くとウィールド部長刑事とシャーリー・ノヴェロ刑事が仕事をしていた。ダルジールが「アイヴァー(ノヴェロの愛称)コーヒー」とどなると、若い女は「いえ、けっこうです、警視。さっき飲んだばかりなので」と答える。ウィールドの顔に“にやり”としたようなもの(ウィールドの醜男ぶりの描写)が浮かぶ。「今!すぐ」そして「女を警察に入れてやる理由がほかにあると思うのか?」とすごい差別発言。でもそれからの展開でダルジールがどんなに部下を気遣っているかわかる。(76ページ)

退職した警官の話をしていて「退職なんてするもんじゃないぜ。仕事をしているときは、死ぬ暇がない・・・」そのとおり。(108ページ)

ホテルのテラスで。「濃いヨークシャー・ティーをポットで頼む。あと、パーキンもいいな」。パーキンは〈ヨークシャー名物の生姜と蜂蜜のケーキ〉と註がある。パーキン食べてみたい。(230ページ)

ウィールドはゲイであることを長年かくしてきたと思っていたが、ダルジールは騙されていなかった。
【振り返ってっみると、巨漢がどれだけ自分を保護してくれていたか、だんだんわかってきた。人権だの、リベラルな宣言など、あからさまなことはいっさいない。ただ彼の周囲に、目に見えない円が描かれ、“この男はわたしの仲間だ。手を出すならそれなりの覚悟をしろ”というしるしになっていた。】(268ページ)
ダルジール、パスコー、ウィールドの世界に入り込むと浮き世のしんどさを忘れてしまう。

ナンシー・アサートン「優しい幽霊シリーズ」から映画『哀愁』を連想

「優しい幽霊シリーズ」はいまどきあり得ないような甘い作品で、しっかりした人からは「こんなんが好きなん?」と冷たく言われそう。表紙はうさぎのぬいぐるみレジナルドが可愛くて電車の中で広げるのをためらう(笑)。主人公ロリはおっちょこちょいで惚れっぽい。

早く父を亡くして母に育てられたロリはシカゴで育ち、ボストンの大学を卒業し結婚するが離婚。そして母を亡くし貧しく暮らしているときに弁護士から連絡があり、イギリスのディミティおばさまから莫大な遺産を相続する。
4作品ともに幽霊であるディミティおばさまの恋人だった第二次大戦中の飛行士の生と死にまつわる物語になっている。ディミティおばさまは彼の死後せいいっぱい生き一生独身で自分の才覚でつくった財産をロリに遺した。

最初から思い出していたのが映画「哀愁」だった。物語は第二次大戦だとばかり思っていたが、いま映画サイトを調べたら物語のはじめの回想するところが「1940年燈火等制下のロンドン」とあった。回想の中身が第一次大戦中と戦後の話である。
クローニン大佐(ロバート・テイラー)はスコットランドの旧家の出身である。バレーダンサーのマイラ(ヴィヴィアン・リー)と、ロンドン空襲のときにウォルター橋上で知り合った。二人は愛し合い結婚の約束をするが、彼に出発命令が出る。
やがて彼女は新聞で大佐が戦死したという記事を見る。バレー団をクビになったマイラはお金に困って夜の女になる。戦争が終わって死んだと思った大佐が帰ってくる。マイラは彼や家族が真相を知ったときのことを考え、思い出の橋の上で軍用トラックに身を投げる。
美男美女の悲恋にわたしの姉たちは無我夢中だったのを思い出す。わたしが見たのはずっと後だったからそんなに熱狂はしなかったが。

「優しい幽霊シリーズ」では、恋人は死んでしまい、ディミティおばさまは幽霊(魂)になってまで、彼に縁のある人たちのために動くようにロリに青いノートで語る。
第二次大戦が終わってから60年以上経っているが、作者には語ることがたくさんあって、こういうかたちで読者に語りかけているのね。

イアン・ランキン『最後の音楽』

ジョン・リーバス警部の最後の事件をようやく読み終わった。
リーバスは停年退職が目の前にせまっている。退職の日の9日前、2006年11月15日の深夜、エディンバラ城脇の道路でロシア人が殺されているのが見つかる。見つけた少女と通りかかった中年夫婦が通報し警官が駆けつける。若いグッドイアは気が利いていて制服警官から刑事になりたがっており、シボーン・クラーク主任刑事はこの事件の捜査で使ってみることにする。彼の祖父は犯罪者で兄もぐれているが、彼だけは生真面目な警官になっていた。

被害者はロシアから亡命してきた著名な詩人だった。エディンバラにはロシア人がたくさん訪れており、事件の裏には政治にからむなにかありそうだ。続いてなんでも記録している録音技師が殺される。事件につながりがあるとみたリーバスとシボーンは調査し検討していくと、リーバスの宿敵でギャングから市の上層部にまでつながりを持つまでにのし上がったカファティが関係しているのがわかる。
物語は一日毎の記録になっている。リーバスは深く調べ過ぎて市の上層部から睨まれ、上司から退職の日まで休職処分を受ける。それでもなおシボーンと連絡をとりながら調査を続け推理する。そして退職日までに真犯人を探し出す。だが、罠にはめられてリーバス自身が警察に調べられる身になる。

他の部署の者から「齢を重ねても丸くはならなかった」と言われているとおり、その激しさ、一徹さは変わらない。巧妙な質問ではぐらかそうとする相手をびびらせ、あるときは威嚇して真実に迫っていく。
最後についてすごく語りたいけどやめておく。
(延原泰子訳 ハヤカワミステリ 2100円+税)

こんなことにも共感 イアン・ランキン『最後の音楽』

イアン・ランキンの本を読んでいると付箋だらけになる。共感するところが多いのだ。読み終わるのは明日になりそうだが、共感したところ。
【彼女のこれまでの様子を見るだけで、その全人生が読み取れるように思った。裕福な家庭に生まれ、両親から金と愛情を注がれて育ち、自分への自信という技を磨き、甘えた声でごまかしきれないような困難には一度も直面したことがない。これまでは。】
リーバス警部が事件について聞き出そうとすると、苦労知らずで育ってきた金持ちの娘がこれまでに出合ったことのない困難に直面することになる。大金を払ってクスリを手に入れているが、そこから殺人事件につながっていく。
読みながらこんな女性いるいると共感。この女性はまだ若いからわかるけど、40歳くらいになってもこんなタイプはいる。できる限りお近づきにならないようにするしかない。

ジョー・ゴアズ追悼

ジョー・ゴアズが亡くなったと昨日のツイッターに書き込みがあった。最後まで現役と書いてあった。「スペード&アーチャー探偵事務所」を読んだのはほぼ一年前の2009年12月だ。すごい力のこもった作品だった。

いま著作目録を見ているが、わたしが読んだのはほとんど「ダン・カーニー探偵事務所」ものだ。当時は孤立したミステリファンでただ好きでひたすら読んでいたが、ヴィク・ファン・クラブを発足させてからミステリ評論家の広辻万紀さんと知り合って孤独ではなくなった。広辻さんは早く亡くなってしまわれたが、彼女と女性探偵ものやその他のハードボイルドミステリについて語り合ったのが忘れられない。
広辻さんはヴィク・ファン・クラブのサイト中にある「パレツキーズ・アイ」でジョー・ゴアズ作品に登場する女性たちについて熱く語っている。

ジョー・ゴアズはハメットに対する熱い思いで知られている。わたしは「ハメット」を1985年に出たのを読んだと思うのだが、いま思い出せない。それよか映画「ハメット」のほうをよく覚えている。あんまり評判はよくなかったと思うのだが、わたしは好きだった。
ここにある「ダン・カーニー探偵事務所」と「スペード&アーチャー探偵事務所」を追悼読書してジョー・ゴアズと広辻さんを偲ぼう。

ナンシー・アサートン『ディミティおばさま古代遺跡の謎』

「優しい幽霊シリーズ」の3作目。これで貸していただいた本は読み終わった。
ロリとビルはイギリスのディミティおばさまが遺してくれた家で生活をはじめる。前作の終わりにロリの妊娠がわかり、本書は予定日より1カ月早く産まれ保育器のお世話になったが、無事に家に帰って育児中のところからはじまる。ビルは自転車で通勤し贅肉も落ちてきたし家庭を大切にするようになった。

ロリは育児に疲れてへとへとになって身なりをかまうヒマもない。そこへ知り合いの老姉妹が助っ人としてフランチェスカを連れてきた。フランチェスカは病気の両親の世話と兄の子どもたちの世話をしてきた苦労人。環境を変える意味でもここに住んで働かせてほしいと老姉妹は言う。
フランチェスカはイタリア人で父親は第二次大戦の戦争捕虜だった。北アフリカで捕虜になり、この村の農場で労役につき、連合国がヨーロッパで勝利した後に地元の女性と結婚した。6人の子どもはイギリス人として育った。しかしスキャパレッリという姓のせいで心の狭い人たちからは疎まれている。

古い意識の人たちがいる村ではロリとビルも新参者である。いかに村人たちとつき合っていくかがテーマになっていて、そこにユーモアが色を添える。
もう一つのテーマは前の2作にも言えるけど、第二次大戦の影や悲劇がイギリスに暮らす人たちにどう影響を与えたかということ。イギリス人だけでなく、フランチェスカのように親が捕虜であった人についても語りたかったのだと思う。
ロマンチックで笑える物語なのに、こういうところで筋が通っている。

亡くなったディミティおばさまがロリに語る。
【1914年から1918年にかけての戦争で多くの死傷者が出たことで、霊能者が多く求められるようになったのです。わたしの子供時代、世の中では精神世界が大流行してましたよ。最近になってまた、精神世界が流行ったでしょう?】
(鎌田三平・朝月千晶訳 ランダムハウス講談社文庫 860円+税)

ナンシー・アサートン『ディミティおばさま旅に出る』

「優しい幽霊シリーズ」の2作目。ロリは子どものころから大好きな国イギリスを思わせるボストンの一角にアパートが借りられて、それほどいやではない仕事があればいいなと願っていた。そしていやでたまらないというほどでない男性と安定した生活をもつこと。そんな思いがディミティおばさまが亡くなって、一生食べていけるお金とイギリスの家を遺してくれて可能になった。その上にビルという白馬の王子と出会い結婚もした。
おとぎばなしのような恋で結ばれるとあとでトラブルが起こるものだと実感したのは、ビルの仕事ぶりを知らなかったからだ。クライアントのほとんどがボストンの旧家で訴訟好き、彼らのためにビルは働きづめである。偉大な父親を持っているため、自分をその後継者にふさわしい人物であると証明しなければならないという強迫観念もあるようだ。イギリスから移住してきた祖先への忠誠心もあり、そして父親の負担を軽減しようともしている。

ロリはかつての上司のフィンダーマン博士の助手として働く。予算が切り詰められているためイギリスへの出張はロリが自己負担で手伝っている。
ロリは天涯孤独の身だが、ビルにはボストンに父とことごとにロリをいびる叔母たちがいて、イギリスには元々のウィリス家があっていとこたちがいる。
崖っぷちに立たされた気分のロリは二回目のハネムーンを計画しイギリスへ行くことにするが、ビルには仕事が発生し、義父の大ウィリスがいっしょに行くことになる。

イギリスで義父がいなくなり、ノートを開いてディミティおばさまと会話する。ノートにおばさまの言葉が現れて相談にのってくれる。義父を追うつもりのロリに前回登場した親友のエマ夫妻と相談していると夫妻の娘ネルがいっしょに行くという。ロリのだいじなウサギのぬいぐるみレジナルドがどうやら義父といっしょに行ってしまったらしい。
ロリはネルとテディベアのバーティーとともに追跡の旅に出る。
イギリス好きの人にはたまらない、コッツウォルズからはじまりイングランドをあちこちする追跡劇。最後はもちろんハッピーエンド。
(鎌田三平・朝月千晶訳 ランダムハウス講談社文庫 840円+税)

ナンシー・アサートン『ディミティおばさま現わる』

「優しい幽霊シリーズ」3冊をNさんに貸していただいた。「ディミティおばさま現わる」はその一冊目。冷える夜に暖かい膝掛けと毛糸のソックスで落ち着き、熱いお茶をいれてクッキーなんぞをつまみながら読むのにふさわしい。子どもっぽいが上品で、乙女チックではあるが芯が一本通っている。

ロリ・シェパードは父が早く亡くなり、教師として働く母と二人シカゴ北西部で貧しく暮らしてきた。レジナルドといううさぎのぬいぐるみだけが友だちだった。母はいつもさびしいロリに〈ディミティおばさま〉の話をしてくれた。地味な物語なのに惹かれるものがり、ロリはその物語を全部暗記している。

ボストンの大学を出て仕事に就き、結婚したが離婚。そこへ母が亡くなった知らせがきてシカゴへもどると葬式や没後のことは母が生前に決めてあった。葬儀には白いライラックの花束がとどき、ロリは自分の知らない母の生活があったのを知る。
ボストンへもどってただ一人の友だちメグの世話で派遣で仕事をはじめる。アパートに入った窃盗に、レジナルドをずたずたにされる。また引っ越して陰気に暮らしているとき、法律事務所から一通の手紙がとどいた。ディミティ・ウェストウッド嬢が亡くなったことを知らせ、事務所に来て欲しいとあった。ロリはディミティおばさまは生きていた人と知ってびっくりする。
雨の降る中びしょびしょに濡れながら事務所を訪ねるとボストンでも最高の場所にある大邸宅である。
立派な屋敷に入るところで「あしながおじさん」を思い出した。あれはニュ−ヨークだったけどジュディが訪ねて行って執事が出てきて立派な書斎に案内されると、おじさんがいた。
そんな感じでウィリアム・ウィリス(大ウィルス)が待っていた。その前に息子のビルにも会う。

そしてロリはビルと二人でイングランド南西部、グロスターシャー州のコッツウォルズに行くことになる。ディミティおばさまが住んでいた家で出合うさまざまな出来事、ディミティおばさまと会話するし、不可思議なことが持ち上がるし、レジナルドが元のような可愛いうさぎに修復されているし。
ディミティおばさまは第二次大戦中に飛行機乗りの恋人がいたのがわかり、ロリの母とも戦時中にロンドンで出会ったのがわかる。

コッツウォルズを検索したら、おいしそうなウサギのクッキーが出てきた。
(鎌田三平訳 ランダムハウス講談社文庫 820円+税)

「ミステリーズ!」12月号に木村二郎さんの私立探偵小説『永遠の恋人』

木村二郎さんからいただいた「ジロリンタン通信」にジョー・ヴェニスもの新作が東京創元社から出ている雑誌「ミステリーズ!」12月号に掲載されているとあった。
私立探偵ジョー・ヴェニスが主人公の単行本「ヴェニスを見て死ね」が出たのは1994年、日本人がニューヨーク在住のアメリカ人を主人公にして書いたユニークなミステリだった。その増補文庫版が創元推理文庫から2011年半ばに再刊される予定とのこと(単行本版の7編にその後の2編を加えたもの)である。
来年半ばには読めるとしてもいま読みたい。木村さんは書店で見つかりにくいとおっしゃっていたが、他の本を買うついでもあったのでジュンク堂へ買いに行った。たしかに雑誌のところにはなかったが、〈エンタテイメント-ミステリ評論〉というレジのすぐ後ろの棚に数冊あるのを見つけた。「永遠の恋人」は74ページにあった。

おれ(ジョー・ヴェニス)のところにハスキーな声の女性が訪ねてきてハガキを何枚か見せ、差出人を見つけてほしいと依頼する。差出人は〈あなたの永遠の恋人〉と名乗っている。おれは彼女を尾行するものはいないか調べ、勤務先の上司や同僚に話を聞く。そうこうするうちに殺人事件が・・・

翻訳小説を読んでいるような錯覚に陥るが、ちょっと違うと感じるところがある。街の名前とかていねいで、わたしがニューヨークに行ったとして、ここかしら、この通りかしらと確認しながら歩けそうと思った。久しぶりにニューヨークが舞台のミステリを読めてよかった。
(「ミステリーズ!」12月号 東京創元社 税込1260円)

エドワード・D・ホック『サイモン・アークの事件簿 II』

サイモン・アークの事件簿Ⅱ (創元推理文庫)「サイモン・アークの事件簿 I」では、語り手の〈わたし〉は第一作「死者の村」のときは若い新聞記者だった。七十三人の村民すべてが崖から飛び降りて死亡、という事件の村に取材に行き、そこで出会ったシェリーと結婚する。その後、ニューヨークで〈ネプチューン・ブックス〉の編集者になり、編集部長から発行人まで出世して退職している。〈わたし〉は作品毎に年を取っていくがサイモン・アークは相変わらずの姿で〈わたし〉を事件現場に誘う。

今回もエドワード・D・ホックが自分で選んだ作品による短編集で、50年代が2編、70年代が1編、80年代と90年代が2編ずつ、2000年代が1編で合計8編が納められている。中心に読み応えのある中編「真鍮の街」が入っている。
最初から何気なく読んでいくと時代が違ってくるのがわかる。それは語り手の妻シェリーの態度で、はじめは夫がサイモン・アークに誘われて犯罪の現地へ行くのを応援していた。帰ってから冒険談を聞くのを楽しみにしていたようだ。年を経るにつけだんだん夫が誘われるのをいやがるようになる。
【わたしは妻のシェリーとの一悶着を覚悟しながら、彼と一緒に来たのだ。シェリーはサイモンのことをあまりよく思ってはいない。二千年のあいだ悪魔との対決を求めるために、地球をさまよい歩いていたという彼の主張を、若い頃のシェリーは冗談のネタにしていた。わたしと彼女が中年になり、サイモンが以前とほとんど同じに見える現在、その冗談は冗談でなくなってしまった。】(吸血鬼に向かない血)

最初の作品「過去のない男」はアークに誘われてメイン州へ出向く。まだ若い書き手の妻は気持ちよく送り出す。忘れていた「事件簿 I」を思い出させ物語にはまらせる心憎い出だしだ。
中編「真鍮の街」は〈わたし〉の友人ヘンリー・マーンのことを語るところからはじまる。仕事で出かけた〈わたし〉はニューヨーク州北部のバッファローから州南部のニューヨーク・シティへ戻る途中、通りかかったマーンの住むベイン・シティに立ち寄ることにした。裕福そうな家でマーンは歓待し、サイモン・アークに助けてもらいたいことがあるという。
行けないままに日が経ち、夫妻はロング・アイランドの浜辺で暖かい日射しを浴びているとラジオがベイン・シティで若い女性の死体が発見されたと告げた。〈わたし〉とサイモン・アークはベイン・シティへ飛ぶ。
その街は真鍮工場を持つベイン一族の街だった。ふっと昔見た映画「陽のあたる場所」を思い出した。アメリカの地方都市でその街を工場主の家族が支配している。この作品はエキゾチックな土地ではなくアメリカの地方都市の物語という点でも異色な感じがした。

その後は、テキサス州、インドのボンベイ、ロンドン、マダガスカル島、ニューヨーク州ダッチェス郡、イギリス南東部グレイヴズエンドとさまざまな土地でさまざまな不思議な事件を追う。オカルト探偵サイモン・アークだから不可思議な事件の調査を依頼されるのだが、解いてみればみんな科学的な結論に達する。
続編を早く読みたい。
(木村二郎訳 創元推理文庫 1000円+税)