深作欣二監督「仁義なき戦い 代理戦争」「頂上作戦」「完結編」

天王寺のジャズ喫茶に入りびたっていたころ「仁義なき戦い」(1973)と「仁義なき戦い 広島死闘篇」(1973)を封切りで見た。40年も前のことだ。怖いもの見たさのような感じで見たのを覚えている。それまでも東映やくざ映画のファンだったが、「仁義なき戦い」最初の2本で満腹になりこのあとは東映映画を見なくなった。
菅原文太のその後の作品は見ていないが、強烈な印象を受けた「仁義なき戦い」の2本だけでずっとファンだと言ってきた。

その後の3本を、おととい昨日今日と三日連続で見た。「仁義なき戦い 代理戦争」(1973)「仁義なき戦い 頂上作戦」(1974)、「仁義なき戦い 完結篇」(1974)。時の流れのせいか、落ち着いてゆっくり見ることができた。すごい映画だ。俳優たちが若くてすさまじく役を演じていた。

おもしろかったので書き留めたセリフ、「知らん仏より知ってる鬼のほうがましや」(代理戦争)、「前向いても崖、後ろ向いても崖や」(頂上作戦)、「牛の糞にも段々がある」(完結編)。
広能組組長(菅原文太)の男の意地を持ったヤクザが殺されずに引退してホッとした。彼(美能幸三)が獄中で書いた手記からこの映画ができたのだ。

肩こりが歯にきた

左肩が凝ってしょうがなかったのが整体のおかげで軽くなった。連動しているかのような目の疲れもかなりよくなった。と喜んでいる間に今度は歯ぐきが腫れてきた。上の前歯が前からちょっと気になっていたが、そのうち歯医者に行こうと1日延ばしにしていたのがよくなかった。歯より歯ぐきがおかしいと思う間もなく、昨日の夜からほっぺたが少し腫れている。
細かい文字の本の読みすぎがよくなかった。3日連続「仁義なき戦い」を見て興奮したのもよくなかった。突然の寒さもよくなかった。いろいろ思いあたるところはあるが自分のやったことだから仕方ない。
昨夜は早めにブログをアップしてすぐにたっぷりと眠った。朝起きて歯医者に電話したら明日の午前中ならいけるとのこと。それで安心して二度寝した〜(笑)。
痛みはほとんどなく違和感も少しおさまっているが、これでほっといたらあかんね。明日はちゃんと診てもらおう。
とにかく無理がきかない。無理をすると後でどこかに出てくる。気をつけて師走を乗り切ろう。

高倉健と菅原文太に夢中だったころがあった

高倉健さんに続いて菅原文太さんが亡くなられた。好きな人が去って行ってさびしい。
わたしが最初に東映任侠映画を見たのは60年代で、鶴田浩二の「日本暴力団組長」だった。すごい映画でめっちゃくちゃ思い入れして同じ系統の作品をかなり見た。
それから健さんの時代になる。「網走番外地」シリーズをかなり封切りで見ているが、それよりもなによりも好きだったのは「唐獅子牡丹」のシリーズだった。健さんと池部良が殴り込みに行くときの姿が大好きで、そこに主題歌がかぶさる。新世界の映画館で大勢の若者といっしょに「意義なーし」と叫んでいた。
そういう時代のあとに菅原文太の「仁義なき戦い」のシリーズが始まった。健さんの映画には様式美があったが、「仁義なき戦い」は暴力あるのみ。でもユーモアはあった。「明日がないんじゃけん、明日が」と明日捕まる菅原文太演じる広能昌三が女に抱きつく場面をいまだに覚えている。

さっきまでシリーズ3本目の「仁義なき戦い 代理戦争」を見ていた。文太兄いの苦笑いする顔が好き。

シェーン・メドウス監督『THIS IS ENGLAND』

なんの予備知識もなくTさんに貸していただいたDVDから選んだのは、ものすごく真面目なイギリス映画だった。シェーン・メドウス監督の「THIS IS ENGLAND」(2006)。監督が少年時代の実体験をもとにした作品だそうだ。サッチャー政権下の1983年のイングランド中部に住む少年ショーンを中心にイギリスの労働者階級の現状を描いている。

ショーンは父親をフォークランド紛争で亡くし母と二人暮らし。学校ではいじめらて疎外感を味わっている。学校の帰りに知り合ったスキンヘッズのグループに関心をもたれて彼らの仲間になる。服装がださいので、まず母に靴をねだるが、ドクター・マーチンの赤いブーツは大き過ぎる。しかたなくよく似た黒い靴にする。グループリーダーのウディの彼女ロルがチェックのシャツとGパンとサスペンダーを整えてくれ、髪も刈ってくれた。そして不良らしく遊び歩いているところへ、刑務所からもどったコンボが子分たちとやってくる。コンボは国粋主義者で移民排斥を唱え、ウディのグループから何人か引き連れて行く。ショーンはコンボに立ち向かうが、反対にコンボに惹き付けられる。
そしてコンボについてナショナルフロント(英国国民戦線)の一員となり、パキスタン人の子どもたちの遊びを妨害し、食料品店では店主を脅し商品を略奪する。
コンボは刑務所に入る前に一晩つきあったロルに気持ちを打ち明けるが、さっぱり拒否される。そのあと大荒れし仲間に暴力をふるいショーンにも当たりちらす。

ショーンは家に帰り母親と父のことをしみじみと話す。
最初のほうで一人歩いていた荒れた海辺の廃船のところまできて、カバンから出したのはナショナルフロントの旗。海辺で旗をまるめて力いっぱい投げる。旗は海に吸い込まれた。
いい曲が聞こえてきたと思ったらザ・スミスの曲だそうだ。最後のところをもう一度見なくては。

「リトル・ダンサー」の少年がすごかったが、「THIS IS ENGLAND」のショーンをやった少年もすごい。そういえば同じ時代の労働者階級の少年だ。

P・D・ジェイムズさんがお亡くなりになってさびしい

大好きな作家 P・D・ジェイムズが11月27日にオクスフォードで亡くなられた。94歳だった。
わたしがP・D・ジェイムズの本をはじめて読んだのは2010年の4月だから、まだ4年半しか経っていない。いま一番好きな作家を聞かれたらP・D・ジェイムズと言う。おっ、レジナルド・ヒルと同じくらいにと付け加えるか。ヒルを読み出すのが遅かったがジェイムズはもっと遅かった。

大阪と東京と離れているけど宅急便のおかげで本の貸し借りを頻繁にしているヴィク・ファン・クラブの会員Sさんに「秘密」をお借りしたのが最初だ。ダルグリッシュシリーズの最後の作品で、読むなりエマとダルグリッシュの間柄に魅了された。殺人事件よりも「高慢と偏見」を読んだときのような恋愛小説気分だった。最初の記事のタイトルが「下世話な興味 エマとダルグリッシュ」なんだから(笑)。

「秘密」を読んでから図書館で棚にあった本5冊を借りた。それを読んでひと休みしていたらずっと休んでしまい、それから2年は空白。
2012年に姪の本棚で亡姉の遺した「女には向かない職業」を見つけた。なつかしく読み出したら最後のほうにダルグリッシュ警視が出てきた。ずっと昔の女性探偵全盛時代に読んでいたのだが気にしてなかったのね。なぜか現代イギリスのミステリを頑なに読んでいなかったのが悔やまれる。P・D・ジェイムズとレジナルド・ヒルを読み出すのが遅かったのが恥ずかしい。

「女には向かない職業」でダルグリッシュ熱が再発して「ナイチンゲールの屍衣」と「死の味」を読んだ。そのあとに「高慢と偏見、そして殺人」が出たのだった。P・D・ジェイムズの新訳を初めて買ったのに、この本が最後の本になった。もう新訳が出ないと思うとさびしい。
今年の夏にコーデリア・グレイが主役のもう1冊「皮膚の下の頭蓋骨」(ここではダルグリッシュは会話の中に出てくるのみ)を読んで、さあ ダルグリッシュ!という感じで、第1作から読み出した。ダルグリッシュシリーズを全部読んだとようやく言えたばかり。
ここまできたら全作品を手元に持っていようと(再読もしたいし)、いまアマゾン中古本で「神学校の死」と「殺人展示室」を注文中。あと2冊頼めば全册揃う。

田中康夫「33年後のなんとなく、クリスタル」を読み出した

「ユリイカ」12月号(特集「百合文化の現在」)をすぐに読みたいので発売日の今日買いに行くことにした。ジュンク堂大阪本店に行くことが多いが、梅田よりも難波店のほうが近いといまごろ気がついた。もうだいぶ前だがデモの帰りにこんなところにジュンク堂があると知ったのが最初だった。
地下鉄を降りてすぐ外に出ないで歩くとすぐにスーパー・ライフがあって、1・2階にはホームセンターがあって、その上の3階である。
とにかく広い。そして本棚の間の空間が広くとってあるので見やすい。今日で3回目くらいだから慣れてなくてうろうろしたが、慣れたらすいすいと思うところにいけるだろう。

まず「ユリイカ」を手にして、うろうろと文庫本のところへ行き、ジュリアン・グラッグ「アルゴールの城にて」(岩波文庫)を、それから昨日ツイッターで知った田中康夫さんの新作、「33年後のなんとなく、クリスタル」(河出書房新社)を買った。合計3780円。
あとはなんとなく千日前線に乗るまで地下の商店街を歩いた。

「ユリイカ」はあちこち興味のあるところ(やっぱり吉屋信子や宮本百合子と古いところになる-笑)を流し読みして、「アルゴールの城」は相方へのお土産にして、さあ康夫さんだ、と読み出した。すっごくおもしろい。

袋物好き そして P・D・ジェイムズ「秘密」

昨日ステップ・ファーベストに出店していたhoopで布バッグを眺めていたら、「袋が好きなんですね」と声をかけられた。そうなんです、持っているのも堀江のジョローナで買ったhoopの僧侶バッグ(お坊さんがかけているような感じ)だし。またまた目についたエコバッグを買っちゃった。

実はおとといP・D・ジェイムズの「秘密」を読んでいたところ、布製ショルダーバッグを肩にかけた保護観察官が登場した。
由緒ある荘園の一画を改造した形成外科医院に入院していた自費患者ローダが死んでいるのを発見される。アダム・ダルグリッシュ警視長率いる特捜チームは殺人現場に出張し泊まり込みで捜査に当っている。そこには過去に殺人を犯した少女シャロンが保護観察の身分で働いている。すべてに目を配っているダルグリッシュは保護観察官に来てもらうように連絡する、という話のところ。

ケイト・ミスキン警部は駅まで迎えに行く。列車から降りてきたのはケイトより背が低くずんぐりしていて、顔はきっぱりとして強さが感じられる。髪の毛はお金をかけたらしくスタイリッシュにカットしてある。役人の象徴であるブリーフケースを持たずに口紐のついた布製ショルダーバッグを肩にかけている。
ちょっとわたしみたいでしょ。わたしはお役人でなくてフリー人だけど。
イギリスの女性にもわたしのような袋物愛好者がいるのがわかってうれしい。そしてP・D・ジェイムズの登場人物描写の細かい配慮に感心すること、しきり。

アメリカ村 BIG STEP 「STEP HARVEST」

わたしらとしては珍しく昼過ぎの出発。行き先はミナミ アメリカ村。お天気はいいし暖かくて気持ちよい。若者でいっぱいのアメリカ村を通るんでなくてわざわざ訪れたんですわ(笑)。

STEP HARVEST(ステップ・ハーベスト)という催しがアメリカ村BIG STEPの正面大階段で開催された。主催者の琴美さん(ジャマイカ料理ベース経営者)から聞いていたので楽しみにしていた。びっくりするほど大きな催しになって人がいっぱい。知り合いもたくさん来ていて久しぶりに社交の日になった。
大階段の両端と一番下の階の広場には、野菜や果物やお茶、手づくり石けんや化粧品、布や木を使った手づくり小物の店がぎっしりと並んでいる。
一番下までエスカレーターを乗り継いで降りていって、広場の店を見て歩く。食べ物コーナーがあって休憩ベンチもある。左右をのぞきながら買い物をしつつ階段を徐々にあがっていった。
階段途中の踊り場ではライブやDJのプレイがあって踊る人たちもおり盛り上がっていた。
相方と二人で野菜いろいろ、無農薬のお茶いろいろ、布バッグ、石けん、年輪があるクスノキの鍋敷きなんぞを買った。

5時までの予定が主催者の発表で盛況につき6時までと変更。
明日の姉宅訪問に備えてわたしは足を疲れささないように先に帰った。遊ぶのにも足をかばうので、心から楽しめなくて残念だ。まあしゃあない、このトシまで遊び続けてきたんやから。
晩ご飯は個食。わたしは大丸で買ったサンドイッチ、相方はきちんと一汁三菜を自分で作って食べていた。

牧村朝子「百合のリアル」

ツイッターで知ってすぐに購入した本。
わたしは異性愛者であるが「百合」好きである。
小学生のときに川端康成の「乙女の港」で女性同士の愛に目覚めたが、「ひまわり」連載の「歌劇学校」も雰囲気があった。中原淳一の影響も大きかった。
少女ものを卒業した感じで外の世界に目を向けるようになり、男性社会を泳ぎ回るようになっていた。そして男性と結婚していまにいたる。うーん、女性には同志愛のような広い気持ちを持っているけどな。

20年くらい前に当時のヴィク・ファン・クラブ会員のSさんが、秋月こおの「富士見シリーズ」の大ファンだった。あおられて読んで「やおい」がなんなのかわかり、自分もええトシして「やおい」やということがわかった。毎巻買って読んでいて、文庫本になるのが待ちきれず、ついに掲載誌「小説ジュネ」を買っていた。
少女マンガもけっこう読んだ。
眠っていた百合の気分がひそやかに百合好みに育っていった。最近になって川端康成の読み直しをしたら、またまたはまった。「美しさと哀しみと」「女であること」、ああ女性同志の危険な愛の深み。

という文学的な百合好みでしかなかったわたしに、「百合のリアル」はストレートに生きている「百合」を見せてくれた。

牧村さんはフランス人の「妻」とフランスで暮らしている同性愛者の日本人女性である。フランスでは日本ではできない「同性婚」ができる。
本書は一人の先生と四人の若者が率直に語り質問し答えを見いだしていく、その丁寧な一つ一つの疑問と答えとそれぞれの立場からの意見がまっすぐで快い。
【『同性結婚制度が存在しない日本で同性と生きていきたい人になにができるか』と考えることは、広い目で見れば『人生設計の前に法制度が立ちはだかった時、個人になにができるか』を考えることでもあるの。」】
と言って、具体的にできることを提案しているのを感心して読んだ。
(星海社新書(武器としての教養) 820円+税)

ダグ・リーマン監督『オール・ユー・ニード・イズ・キル』

トム・クルーズの最新の映画。テレビの予告も新聞広告も見ないし、ネットも気にしてなかったからほんまに初体験。わあわあと圧倒されて見入ってしまった。
桜坂洋によるライトノベル「All You Need Is Kill」の映画化というのもはじめて知った。

【近未来。地球は「ギタイ(Mimics)」と呼ばれる宇宙からの侵略者により、滅亡の危機に晒されていた。】という背景があって、トム・クルーズ扮するケイジ少佐が登場する。ロンドンの中枢部で将軍に面会したケイジは報道官という立場を乱用したのをとがめられ、歩兵として最前線にとばされてしまう。
最前線でギタイ殲滅作戦に出陣したものの次々に隊員はやられていき、英雄のリタも戦死する。死んだはずのケイジは出撃前の自分にもどって目が覚める。

最初はわけがわからず見ていたがわけがわかってくるとほんまにおもしろい。わけがわからなかったときもおもしろかったけど(笑)。
最後のトムのニッコリは何度見てもいい。「トップガン」の笑顔を思い出した。